【コラム・浅井和幸】いつも不安を抱えていたり、イライラしたり、貧乏だったり、成績が悪かったり、ケンカが弱かったり。物事が上手くいかないとき、自分に強さがあれば解決すると考えますよね。でも、どの様な強さが必要なのか、それを具体的に考えて、身に着けないと、自分が思っていることとは逆の道、つまり、不安やイライラが増えてしまう事もあります。

ライオンとウサギ、どちらが強いでしょうか?もし、ライオンとウサギを檻のような狭い部屋に入れたら、たぶん、ライオンがウサギを食べてしまうでしょう。つまり、ライオンの方が強いですね。

では、人の住むような市街地に、ライオンとウサギを逃がしたらどうなるでしょうか?きっと、ウサギはどこかに隠れ、ライオンは路地を歩くかもしれません。そうすると、人間がライオンを銃殺するかもしれませんね。ウサギの方が長く生きられそうです。これは、ウサギの方が強いと言えないでしょうか?

人対人で考えます。直接の口喧嘩でAさんよりもBさんが強いとします。Aさんは、いつもBさんに泣かされています。Aさんは、Bさんが怖いので避けるようになりますが、他の人たちとは上手くやっていけます。しかしBさんは、だれかれ構わず理不尽に振舞い、敵を多く作るタイプ。結局、そのコミュニティから出て行かなくてはいけない状況に陥る。

さて、AさんとBさん、どちらが強いのでしょうか?あなたは、どちらの強さを身に着けたいと思いますか?

食物連鎖の頂点の肉食動物のほとんどは絶滅危惧にひんしていると、ある生物学者がラジオで話をしていたことを思い出します。そのラジオでは、草食動物の方が肉食動物よりも進化しているというようなことを言っていました。どこにでもエサがある草食動物の方が、進化していて、生き残りやすいのだとか。

毒がある草木もあるでしょう。それでも肉食動物のエサである草食動物よりも、草食動物のエサである草木の方が反撃してくることは少なく、安全でしょうね。また、肉食動物は縄張りを固定していて、草食動物よりも活動範囲が狭い、融通が利かないところもあるのかもしれません。

異種格闘技で強い選手がどの格闘技の技術を持っているかという疑問も、その異種格闘技戦のルールに有利な技術を持っている選手という要素は大きなものです。強い、弱いは、その環境に適応しているかどうかという要素は大きいものですね。

性格を変えたい、強くなりたい、偉くなりたい。自分を変えたいと思う、いろいろな要素があるでしょう。でも、単純に強いという意味も、目的によって変わってきます。もう一度、自分に問い直してみてください。どの様な強さを手に入れたいですか?それは何を達成するためですか?(精神保健福祉士)