【コラム・入沢弘子】如月(きさらぎ)がはじまりました。弱々しかった陽射しにも、心なしか力が感じられます。おかげさまで土浦市立図書館は、先月1月21日に10万人目の来館者をお迎えしました。45開館日目での達成は、地方の公立図書館としてはハイペースだと驚かれています。

駅前に移転してからは、旧図書館とは異なる特徴がみられるようになりました。

一つ目は、利用者層の時間帯別“棲み分け”です。平日の朝一番に来館するのが、リタイヤ世代男性と赤ちゃん連れの若い女性。昼近くから午後にかけては、40代から60代の女性。午後は、高校生とビジネスパーソン。休日は、朝からあらゆる世代の男女が来館。

皆さん、お好みの場所を見つけて快適そうに過ごされている様子を拝見すると嬉しいです。

二つ目は、利用者層の年代の幅の広がりです(見た目年齢とアンケート回答からですが)。

大正世代は少数、昭和一桁は1割くらい。戦中生まれ世代や団塊の世代が2割くらい。ポスト団塊の世代、新人類、団塊ジュニア、ポスト団塊ジュニアで3割。残りの4割がミニマムライフ世代、ゆとり・さとり世代と小さな子供たちでしょうか。

多世代が狭い場所に集まると、世代間ギャップが顕著になります。戦中生まれ時代以上の方は、割と柔軟に多世代の中に溶け込んでいます。

団塊の世代とポスト団塊の世代からは、「隣の学生のシャーペンの音がうるさい。学生は学習室を利用させて」「いつもの席が予約できない」「子どもの声が気になる。静かにさせて」など主張が強い世代であると感じます。

新人類はマイペース、私も同世代。団塊ジュニアやポスト団塊世代は、ひたすら静かに利用。周囲の視線を感じてそっと席を移動する、そんな空気を読むのもこの世代です。

そして、ゆとり・さとり世代。「図書館サイコー!」とアンケートに書くのもこの世代。IT化された図書館のシステムも説明不要で使いこなしています。さすがデジタルネイティブ。

開館約2カ月後の今、皆さんがジェネレーションギャップを乗り越え、折り合いをつけて思い思いの場所で過ごされているのを拝見すると、新たなコミュニティができつつあるのを感じます。これからどのような変化がみられるでしょうか。楽しみです。(土浦市立図書館館長)