【コラム・川端舞】先日、インフルエンザの予防接種を受けに病院に行った時、同行していた介助者を見て、受付の人が「ご家族の方ですか?」と聞いてきた。いつものことだったため、特に気にせず、「いいえ。介助者です」と答えたが。

介助者(ヘルパー)と一緒に外出する障害者なら、似たような経験をしている人も多いだろう。介助者と一緒に来ているのに、なぜか家族だと思われてしまう。同行している介助者が私と同年代なのに、「お母さんですか」と言われてしまい、あとで介助者が「私、そんな年齢に見えるのかな」とつぶやいた時は、おかしいような、気まずいような気持ちになる。

なぜ、障害者の外出に同行している人は家族だと思われてしまうのだろう。確かに、介助者と一緒に外出する障害者よりも、家族と外出する障害者の方が多いのは事実かもしれない。しかし、障害者の介助は家族がするのが当たり前だという考え方を多くの人が持っていて、本当は介助者と外出している障害者を見かけても、「きっとそばにいるのは家族なんだろう」と思われてしまうこともあるように感じる。

「介助者と外出するのが当たり前」の社会

障害のない人であれば、たいてい大人になったら、実家を離れて、1人暮らしをしたり、パートナーと一緒に暮らすだろう。親も子育てから卒業し、仕事や趣味に時間を使う。しかし障害者となると、大人になっても親が介助するのが当たり前だと思われてしまう。本来なら、障害者の親になっても、子育てが終わったら、子離れして、親自身の人生を楽しむ権利があるはずなのに。

もちろん、障害者の介助をずっと家族に任せてしまう背景には、介助者という職業の人手不足という問題もあるだろう。しかし、障害のある家族と外出するたびに「ご家族の方ですか?」と言われてしまうと、「やっぱり障害者は家族が介助しないといけないんだ」と思ってしまい、介助を家族以外の人に交代してもらうという選択肢を思いつかなくなってしまうこともあるかもしれない。

私のような障害者が介助者と一緒にどんどん外出し、「ご家族の方ですか?」と言われるたびに「介助者です」と答えることで、家族ではなく介助者と一緒に外出する障害者もいることを多くの人に知ってもらい、「介助が必要な障害者は介助者と外出するのが当たり前」と思ってもらえるような社会をつくっていきたい。(障害当事者)