【コラム・山口京子】コロナ禍の落ち着きにより、対面のセミナーが再開されるようになりました。私は主に、シニアの生活設計・相続、エンディングなどのテーマで話をしていますが、最近、「社会保障の仕組みについて聞きたい」という依頼をいただきました。社会保障の総論的なこと、高齢者に関する保障をテーマに、ということでした。

社会保障の理念は憲法25条にあると言われています。「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(1項)、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」(2項)と、明記されています。この理念のもとに、それを実現する法律が作られ、制度が整備されてきました。

社会保障制度には4つの柱があります。社会保険、社会福祉、公的扶助、公衆衛生の各制度です。社会保険は、国民が病気やケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などの生活の困難をもたらす出来事(保険事故)に遭遇した場合、一定の給付を行い、生活の安定を図ることを目的とした強制加入の保険制度で、社会保障の要になっています。

広義の社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがありますが、一般的には、医療保険、年金保険、介護保険の3つを言います。

両親の生活に介護保険は不可欠

社会保険で画期的だったのは、1961年に実現した国民皆保険と国民皆年金でしょう。それまでは、健康保険や年金に無加入の人たちがいました。そうした人を加入者にするために、国民健康保険、国民年金の制度ができました。当時は高度経済成長の離陸時だったのでしょう。

1973年は「福祉元年」と呼ばれています。老人医療の無料化、健康保険の自己負担割合の引下げ、高額療養費の創設などがありました。しかし、オイルショックによる経済の変化で、その後は社会保障制度の見直しが続いています。

2000年には介護保険制度がスタートしました。高齢者の自律を支える制度で、2021年7月の時点で、要介護・要支援認定者は687万人になっています。わが家でも、両親の生活に介護保険はなくてはならないものです。これからも持続可能な制度であってほしいと願っています。

めっきり朝夕冷え込みます。田んぼは稲刈りがすっかり終わりました。道端にはタンポポの綿毛が残っていたり、カラスウリが赤く色づいたりしています。(消費生活アドバイザー)