【コラム・堀越智也】社会人になって名刺交換をするようになり、2枚以上の名刺をいただく度に、自分は1枚にしようと心に誓ってきた。2枚以上の名刺があると、どうしてもその人のイメージが薄まるし、もらった方は管理が煩雑になったり、年賀状を送る時、どちらに送るか迷ったりと、面倒が生じるからである。

ところが、最近、2枚以上の名刺を準備する方の苦悩を知ることになった。ラヂオつくばの代表取締役になり、各種団体の役員などを務めることになり、例えば、関わってくださる企業にご挨拶をする際、1枚の名刺に多くの肩書きを盛り込むと失礼であったり、説明が不十分になったりと、何かと不便である。

しかし、生きていると肩書きが増えるのだ。僕の名刺には,マインドマップとスピードリーディングのインストラクター、茨城県保険代理業協会など、書くと長くなる資格名が蟻のように小さい字でびっしり記載されている。そうそう、この「NEWSつくば」の理事も加えると、ついには何者なのか分からなくなってくる。

ところで、コンテンツが多様化し、メディアが多様化したと言われて久しい。経営者は、宣伝のために従来からある紙媒体に加え、インターネットの利用も避けがたくなった。

それとともに、自己紹介のためのツールも多様化する。名刺という小さな紙媒体からホームページ、ブログ、SNS、さらにはこれらにYoutubeによる動画を貼り付ける経営者もいる。フェイスブックが名刺代わりになると言われることもある。

この多様化したコンテンツをうまく整理し利用した人が勝者になりやすくなるかもしれない。そして、自己紹介も多様化したコンテンツをうまく整理し、利用する必要があるのかもしれない。しかし、誰もができることではない。

ところで、このごろ、トリバゴというサイトが知名度を増している。乱立するホテル予約サイトを整理し、料金比較をしてくれる。これからは、多様化したコンテンツを分かりやすく整理してくれる人が評価され、場合によってはビジネスになる時代になるだろう。

経営者も学生も70歳を過ぎたうちの両親も,世間で幅をきかせていることは分かるが得体のしれないコンテンツたちが何なのかを整理し、説明し,利用方法を親切に教授してくれる必要としている。そんなビジネスを名刺に書き加える人が増える日が遠くないかもしれない。(弁護士)