【コラム・先﨑千尋】前回のコラム(8月23日掲載)で、「菅総理は即刻お辞めください」と書いた。間に合ってよかったと思っている。菅さんは、内実は居残りのために策を弄(ろう)したが、万策尽きて天を仰ぐことになった。安倍さんも菅さんも「コロナに打ち勝つ」と言っていたが、結局コロナに負けたのだ。菅さんが辞意を表明したら、東京都の新たな感染者が減り続けている。

そんな時、コロナウイルスに関する興味深い本を手にした。国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長・西村秀一さんの『もうだまされない新型コロナの大誤解』(幻冬舎、1300円+税)だ。帯に「従来株も変異株(デルタ株)も空気感染。飲食店のアクリル板などは、ウイルスが滞留してかえって危険。テーブルや椅子、ドアノブの消毒なんて無意味。家庭内感染は手洗いでは防げない。ご遺体を密封するなんてまったく必要ない。不織布マスクと換気とうがい、予防策はそれしかない」とある。

奥付の著者紹介には、西村さんの専門は呼吸器系ウイルス感染症、特にインフルエンザ。呼吸器系感染症研究の日本における中心人物のひとり、とある。

コロナウイルスは空気感染とか、不織布マスクと換気が予防策という知識はあったが、「飲食店や郵便局、銀行窓口、店舗のレジなどにあるアクリル板、よく見かけるファイスシールドなどでは何も防げず、手のアルコール消毒は無意味」などの西村説はまったく知らなかった。

本書を手にした方も多いと思うが、西村さんは「はじめに」で、「新型コロナウイルス感染症はやっかいな病気。人体に悪影響を及ぼすウイルスによる感染症を怖がることは必要だが、過剰な対策で不必要な不自由が生じている。身を守るためには、やらなくともいい対策を冷静に判断し、やらない、あるいは拒否していく必要がある」と書いている。

新型コロナは空気感染

本書は「新型コロナは空気感染だと知れ」「手洗いよりうがいのすすめ」「PCR検査をただ増やせば良いという大誤解」「ウイルスに勝つマスクの達人になる」「こうすれば飲食店も営業できる」「ウイルスと細菌は違います」「新型コロナはいつ終息するのか」の7章から成っている。それぞれの章にまとめがあり、私はそれをコピーして友人、知人に配っている。その中からいくつかを紹介しよう。

「ウイルスは皮膚からは感染しないので、接触感染は気にしなくて良い。手洗いよりもうがいの方が大切。緑茶を飲む。PCR検査だけを増やしても、陽性者を受け入れる体制が整っていなければパニックになる。ウレタンマスクは、効果はほぼゼロ。風が吹いていて、人が密になっていない戸外ではマスクは不要。バイキングや大皿料理は問題ない。食べ物からコロナウイルスは感染しない。レジのお金の受け渡しに感染リスクはない」など。

最後に、「新型コロナは、治療法が確立されることはあっても、ウイルスそのものを撲滅することはまずできない」とある。コロナに打ち勝つことはありえないとすれば、正しい知識を身に付け、理屈に合った対策を取っていくことが必要だ。そのために本書は役に立つ。(元瓜連町長)