【コラム・浅井和幸】さぁ、仕事も頑張った、嫌なことにも耐えた、ダイエット中だけど、今日は自分にご褒美として大き目のケーキを食べちゃおう。この文章は、「当たり前」「普通」でしょうか? それとも「変」でしょうか?

では、今週はダイエットがうまくいっているから、ご褒美にカロリーの高いものを食べるのはいかがですか? 山登りをしていて、この1時間は頑張ったから、ご褒美に100メートルだけ下っちゃおうは?

分かっちゃいるけど、やめられねぇ。そんな言葉が、半世紀以上前にはやりました。まさに、人間の本質をとらえた素晴らしい言葉ですね。

目標や希望に向かって歩き続けることは、難しくつらいことが多い。目標や希望の反対方向に、うれしいことがある。そう感じている人は多いし、そのように教育されますよね。我慢して勉強するのが素晴らしい、嫌なことがあっても続けることがよい、苦しいことをするから尊敬される―と

一般的にそう教えられたりすることも多いですが、山を登って朝日を楽しむ人、ダイエットに成功して健康的になる人、コツコツと仕事や活動を続ける人も確実にいます。

これらの人たちは、本当に苦しむことに耐えているだけなのでしょうか? もちろんそうでなく、ここまで達成できたといううれしい思い、健康になったり、褒められたり、貯金が出来たりという喜びを感じているはずです。

それも、山を登りきる前にも、何度も喜びを感じることもあるでしょう。空気がおいしいなとか、きれいな花が咲いているなとか。

ささいなことを積み重ねましょう

自身の目標に反する状態で苦しんでいる人たちが、目標を達成する方向に言動や生活を変えていくお手伝いをすることが、私の仕事や活動と言えます。余裕がなく無意識に悪循環の選択をし、分かっちゃいるけどやめられねぇ状態から、抜けるための小さな喜びを感じられることは好循環を生みます。

ささいなことを馬鹿にせずに、積み重ねましょう。積み重ねに苦手意識がある人は、小さな喜びを見つけることに意識を向けましょう。好循環はその先にあります。

だからと言って、やっぱり程度は大切。体重が減ることが喜び、増えることが恐怖となって、健康を保てないほどの過度のダイエットをしてしまう心の病もありますから、ご注意を(できたら健康を喜びにしてほしいところですが…)。

半端はダメだと追い詰めるのも、過ぎたるはなお及ばざるがごとしと考えるのも、また、あなたの人生です。自分自身で選択していけるとよいですね。(精神保健福祉士)