【コラム・塚本一也】6月4日の茨城県議会において、大井川和彦知事は私の一般質問に答える形で、石岡市柿岡にある地磁気観測所について、県として国に対し移転と補償を求めていく考えを表明しました。これは数十年ぶりに復活した中央要望であり、県南・県西地区の今後の開発計画を進める上で、画期的で重要な発言といえます。

地磁気観測所とはどのような施設なのか、簡単に説明しておきます。気象庁・地磁気観測所は旧柿岡町に位置しており、地球の磁気を継続的に定点観測し、研究機関や磁気図作成などにデータを提供しています。1912年、東京・赤坂から柿岡へ移転、それから100年以上が経ちました。

観測する地磁気には短周期と長周期がありますが、電車が走る際の直流電流が磁場を荒らしてノイズを発生させるため、観測所から半径35キロ以内は直流電源を使用してはならないと、法律で定められています。そのため、JR常磐線やTX(つくばエクスプレス)は、経済的負担の大きい交流電源を使用しなければならず、長い間、地域の鉄道計画の足かせとなっていました。

観測所が東京から移転したのも、都電荒川線を走らせるに当たって、赤坂では観測に支障があるため、「将来的に都市化とは無縁の場所」として柿岡が選ばれたそうです。気象庁は継続的なデータ観測の有用性を主張して、これまで移転を拒否していましたが、直流の影響を受けやすい短周期観測についてはデータ補正が技術的に可能となったため、移転に柔軟な姿勢を示すようになりました。

しかし、移転費用を茨城県に求めており、一時期盛り上がった移転要求もとん挫しているのが現状です。

大井川知事とスクラム組めた

東京の交通の利便性を高めるために、そのしわ寄せが茨城県に来ること自体理不尽な話であり、さらに移転費用負担まで求めるのは全く筋が違う話です。国の施策でマイナス施設を受け入れる際は、地域振興というインセンティブがありますが、茨城県は100年間、その恩恵に何もあずかっておらず、国に対して補償を求めるべき立場にあると思います。

こういった私の考えに対して、大井川知事から同意見という答弁を得ており、個人的には県とよいスクラムが組めたと充実感を覚えています。

今後、TXの東京延伸、都心での相互乗り入れ、あるいは県内延伸や地下鉄8号線の誘致などの際に、この問題が必ず再燃すると思われます。茨城県の将来を見据え、今のうちから解決に向けて取り組んでいくべきでしょう。(一級建築士、県会議員)