【コラム・玉置晋】仕事から帰ってくると、6畳の僕の作業部屋兼寝室に、直径1メートル、高さ20センチメートルくらいのトランポリンが置いてありました。寝る場所がないぞ。

「最近さ、運動不足だからヨガでも習いに行こう」と、ウチの奥さんに提案されたのが3月上旬。行きつけの床屋でその話をしたところ、マスターから、「ヨガ教室は女性ばかりなので、そこに男性が入っていくのはなかなか勇気がいるよ」と妙な圧を受けて、おじけづいた僕。

奥さんに「いや、女性ばかりのところにおっさんが入っていくのは、ちょっと」と抵抗してみたものの、奥さんに「大丈夫、大丈夫」と押し返されて、市のヨガ教室に応募したのが3月下旬。しかし、コロナ禍のせいか、4月上旬、生徒が集まらず中止になりましたと通知があり、少しほっとしていました。

そしたら奥さん、次の手を打って、トランポリンがやってきたというわけです。インターネットで調べてみると、トランポリン・ダイエットがはやっているらしく、きっかけは、どうやら、NASA(米航空宇宙局)が宇宙飛行士の訓練にトランポリンを取り入れたことのようです。

トランポリン・ダイエットの成果は?

トランポリンと宇宙の関わりといえば、2014年、ウクライナ情勢が悪化した時のこと。米国がロシアへのハイテク製品の輸出禁止措置を強化した際に、ロシアの副首相が「我が国の宇宙産業に対する制裁の影響を検討した結果、トランポリンを使って宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送ることを米国に提案する」と言いました。

当時、米国のスペースシャトルは退役していて、ISSに宇宙飛行士を送る手段がありませんでした。宇宙であれ医療であれ、自国に技術とそれを運用する基盤がなければ世界では弱い立場になります。

その後、2020年に米国のスペースX社が宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げを成功させた際には、スペースXのイーロン・マスク氏はジム・ブライデンスタインNASA局長(当時)との記者会見で、「トランポリンがうまくいった」と、トランポリンがネタとして使われています。

トランポリン・ダイエットの成果は如何ほどか? 半年後の僕の姿で立証できるでしょう。そうそう、市のヨガ教室は秋に再び募集をかけるそうです。こちらも注目です。(宇宙天気防災研究者)