【コラム・奥井登美子】

「去年はコロナで緊急事態宣言、お花見行けなかった」

「今年こそ、行きたいけれど…無理でしょうね」

「コロナが収まらなくて困りましたね」

「何か落ち着かないのよ、どうしたらいいの」

「楽しいニュースがないんですよ」

「家にいてテレビのニュースは、10年前の大津波、ミャンマーの軍事政権、コロナばかり」

「怖いのは、コロナの変異種が出てきたの」

「死亡率が高いんですってね…」

「うつ病」まではいかないものの、「コロナノイローゼ」気味の人は多い。

友達とのばかみたいなおしゃべり

うちの薬局に来てくれるお客様は、老人の1人暮らしの人が多い。薬をお渡ししてもなかなか帰らない。外に行かれない。旅行にも、娘の家にも行かれない。友達とのおしゃべりができない。もろもろの憤まんがみなぎって爆発する。

友達とのばかみたいなおしゃべりが、主婦たちの精神安定剤だったのだ。私は自分が精神安定剤になったふりをして、おしゃべりに付き合う。

個性的で明るい人を観察してみると、上手下手には関係なく、それぞれ家でできる個性的な創造を試みている人たちだ。

斬新な手作りマスク、折紙、お料理、俳句、川柳、短歌、読書、ケーキ作り、アクセサリー作り、犬の服作り―などなど。コロナ禍を乗り越えるために、自分で自分の精神安定剤を見つけてみよう。(随筆家、薬剤師)