《続・平熱日記》5 思い出の犬たちのこと


【コラム・斉藤裕之】決して愛犬家というわけではないのですが、気が付くと人生の半分ぐらいは犬と共に暮らしてきてきたことになります。まず記憶の彼方にロリという犬がいたと思います。それから小学生の頃、近所の食料品店「さかい商店」からもらわれてきたのがチワワとの雑種ぺス。賢い犬でしたが、体のわりに大きな子供をはらんでしまいなくなりました。その頃はまだ野良犬が結構いましたから。

暫くして、酔っ払って帰宅した父の上着から顔を覗かせたのがレオ。とんかつ屋の白梅からもらわれてきた血統書付き。まあ犬というのは基本的にすべからく雑種であると思っていますが、友達に言われてシーズーという種類であることがわかりました。しかし、そんなことはお構いなしにバリカンで毛を刈っていたので、奇妙な面持ちの犬となっていました。このレオは定刻になると近くのスーパー「ワイマート」の精肉コーナーのバックヤードに出かけ、日がな一日過ごし、夕方になると帰って来るのが日課でした。

さて時は経ち、私にも家族ができて子供たちがまだ小さかったある日。我が家に迷い犬がやってきます。大人しいシープドッグでしたが、汚れていたので洗ってやりました。数日して数軒先の犬だとわかり無事ご帰宅。しかしながら、短い間に子供たちは情が移ったようです。

そこで、丁度クリスマスが近かったこともあって、かみさんが里親探しの団体から譲り受け、プレゼントとしてやってきたのがマルロー。この名前、マスクという映画に出てくる犬の名前からかみさんがつけたのですが、マイヨーが正しいということが後に判明します。このマルちゃんはやんちゃなところがありました。ある霧の濃い朝田んぼを散歩しているときに、霧の中に忽然と消えていき、数日後20㎞も離れた場所で保護されたことがありました。また野ウサギをくわえて意気揚々と帰ってきたことも。

それから、今の家にやってきたのがフーコです。かみさんの友人宅で生まれたビーグルとの雑種で、生まれつき顔の左側の筋肉が緩くよだれが垂れています。とても大人しいメスで、マルちゃんとの相性も良く、暫くの間仲良く暮らしていました。アンドレ・マルローとミッシェル・フーコー。なかなかハイソな2匹。数年前マルちゃんは天寿を全うし、今はおばあちゃんになったフーちゃんがストーブの横で静かに寝ています。

というわけで、都合20年近く、旅行も行けず犬と暮らしてきましたが、おかげで早起きになり、小さな絵を描き始めるようになりました。そして、今でも最も身近なモデルでもあります。さて、正月を我が家で過ごした戌年生まれの次女も仕事に戻りました。平成30年、戌年が良い年になりますように。(画家)