《続・気軽にSOS》5 もったいない


【コラム・浅井和幸】私は、相談中に「もったいない」と言う事が多いです。相談室に来た来談者が、物を粗末にしているのではなく、目的に反した習慣に対しての言葉です。幸せになりたいのに、不幸になるための言動を習慣化していることを、私はもったいないと表現します。

楽しく過ごしたいのに、苦しむ方向性の言動を習慣化している人は、多くの真面目な人が陥っていることです。悪循環に陥っていると感じたら、まさにこの状態です。

例えば、仕事のやりがいやうれしい事、達成感を味わうようにしているつもりが、仕事の嫌なところ、嫌な人、つらい事ばかりを考えてしまう。場合によっては、休日まで、解決方法ではなく、嫌な事柄ばかりを繰り返し思い出し、予測している。

うつ病で休職するまで追いつめられた人だけに限らないと思います。嫌いな人、尊敬できない人の評価を気にし過ぎてはいませんか?

人前に出る職業のある人が、生活や自分の仕事に影響がない巨大掲示板サイトの悪口を見に行っては、落ち込むのを繰り返す。むしろ、この落ち込みのせいで、仕事に支障が出るという悪循環です。

仕事の進み具合や給料に響くという事であれば、嫌いな人を気にする必要が少しはあるかもしれません。褒め言葉ばかりでなく、批判的な言葉も参考になることもあるでしょう。しかし、自分自身が嫌いな人や尊敬できない人からの評価が上がっても、むしろストレスが上がることが多いものです。

それよりも、自分自身が好きな人や尊敬できる人、大切にしたい人からの評価を上げるようにした方が生活にプラスになるはずです。

「人は誰とでも仲良く、良い関係でいなければいけない」という素晴らしい教えに縛られ過ぎてはいないでしょうか。その素敵な常識にとらわれ過ぎることで、自分自身が好きな人、尊敬している人、大切にしたい人をないがしろにしていないでしょうか。

自分の大切にしていること、目的を、もう一度、思い出してみてください。まずは、時間も、お金も、人間関係も、その他のしがらみも全てないという状況で考えます。「魔法が使えたら」とか、「何の足かせもないとしたら」とかに応える方法でも良いでしょう。「宝くじが当たったら」でも良いかもしれませんね

そして、それを達成するための、今すぐできる簡単なこと、些細なことを試します。ここでは、「大金があれば」とか、「スーパーマンのような力があれば」とか、「権力があれば」とかを考えるのは無しです。1円ずつ、わずかな腕力で、身の丈の人間関係で進んでいかなければいけません。

私たち凡人は、自然に身を任せて流れて行けば幸せに生きられるという境地には、なかなかたどり着くことが出来ません。それでも、人生の選択権を放棄しないでください。自分で優先順位を決め、少しずつでも良いから、創意工夫、試行錯誤を繰り返すようにしましょう。

1人では難しいのであれば、周りの信頼できる人に手伝ってもらえば良いのですから。(精神保健福祉士)