【コラム・吉田礼子】昨年11月15日未明、義父が倒れたとの一報。94歳の年齢、いつ何が起きても不思議はない。幸い12日間で退院できたが、毎日、緊張と不安の日々だった。家では、ホームドクターに訪問診療をお願いし、ケアマネージャーとも相談して、訪問入浴と訪問リハビリをしてもらうことにした。近くに住む妹にも助けてもらい、私は主に食事の方を担当することに。

まず義父が好んでいたものの中で消化のよいもの、食べやすいもの、栄養価の高いものを中心に献立を考えていたが、寝たきりで運動不足で便秘が続き、筋力も衰えてきていた。90歳も過ぎると、肉なども食べる量が減ってきていると義母に聞いたが、10年前より痩せて小さくなっていた。

義父の食事プログラム

①筋肉をつくるタンパク質:鶏ムネ肉、豚肉、牛肉の薄切り・ひき肉、大豆、豆腐、卵

②腹の調子を整えるもの:ヨーグルト、みそ、納豆、ゴボウ、キノコ類、白滝、キウイ、葉物類、オリーブオイル、ゴマ油

③5色のいろどり:赤(ニンジン、赤カブ、赤身の魚)、黄(卵、パプリカ、かぼちゃ、かんきつ類)、緑(葉物類、ピーマン、キュウリ、ブロッコリー)、白(ご飯、麺類、カリフラワー、白身の魚)、黒(のり、黒豆、ドライプラム、レーズン、ゴマ)

④調理法:食べやすい大きさ、千切り、柔らかく、熱しすぎず、冷たくなく

⑤薄味:香辛料は辛過ぎず、カレー粉、ショウガ、酢、ゴマ油、レモンなどで味の変化を、できれば昆布とかつお節でだしを取る

⑥その他:冬はとろみをつけると、冷めにくく口当たりもよい、体を冷やさない食材を選ぶ

「うまい! うまかった!」

義父の「うまい!うまかった!」の声も日増しに張りが出て、ベッドの周りを歩けるようになった。本人の元気になりたいとの気力と食欲は無関係とは思えない。介護する側の義母も食欲が出てきた。

先日、医者の検査で骨密度の数値が平均値を上回り、骨粗しょう症の薬が出なかったと、ニコニコしながら帰ってきた。しみじみ食べることの大切さを実感。(料理学校主宰)