【コラム・田口哲郎】

前略

メリークリスマス。宗教色の薄い日本では、クリスマスはモノと結びついていますね。ケーキにプレゼント。そして、この時期にたくさん出現する、サンタクロースの格好をしたキャラクターたち。カワイイは世界の共通語になりましたが、日本人のキャラ好きは文句なく世界一でしょう。

日本人のキャラ好きは今に始まったことではありません。『のらくろ』を読んでいたら、のらくろグッズに埋もれてご満悦の田河水泡(たがわ・すいほう)先生の白黒写真を発見して、我々キャラ好きはご先祖様からの有り難い遺伝なのだと思った次第です。

大学のとあるフランス語講師の話を思い出しました。このパリジェンヌが来日して間もなく、銀行口座をつくったときのこと。行員に無地の通帳かキャラクターの絵柄つきの通帳か選ぶように言われ、ムッとしたそうです。日本人なら抵抗なく「じゃあミッキーの方」とか言って喜ぶでしょう。

しかし、フランスではキャラ付きのモノは子供用であって、大の大人にキャラ通帳にするか訊くなんて、ワタシはバカにされているのかと思ったそうです。

おじさまもカワイイものがお好き

『おじさまはカワイイものがお好き』という漫画がはやり、ドラマ化されました。五十路のバツイチ小路課長がパグ太郎なる癒し系キャラを愛しているが、世間体を気にしてひた隠しにする苦労が面白く、切なく描かれます。

キャラ愛好はフランスのように子供のすること、とはいかないまでも、日本でさえ最近まで女子の嗜(たしな)み的なところがありました。しかし、ダイバーシティ先進国を目指す日本です。そこにジェンダーバイアスはあってはならぬと、男子も秘密の花園に進出し始めている。

かく言う私も、カワイイものがお好きになってしまいました。小路課長のように躊躇(ちゅうちょ)せず、推しキャラ(愛好しているキャラクター)を公表します。それは「つちまる」です。ご存じ土浦市のイメージキャラクター。永遠の1歳6カ月の男の子。

チャームポイントはつぶらな瞳とよちよち歩きです。J:COMで放送されている「マイシティつちうら」で目撃してから虜(とりこ)になりました。

きっと体重はレンコン3個分なのだろうと想像しています。好きが高じて、おじさま(私)は、商業施設にしか見えないと近ごろ話題になった土浦市役所の1階にある売店に赴き、「つちまる」のぬいぐるみとストラップをゲットしました。

なかなかやり手のデキる奴

ストラップは一緒におでかけして写真を撮り、「つちふぉとコーナー」に応募するため。安田講堂をバックに撮った写真が「マイシティつちうら」で紹介されたときは、つちまると喜びを分かち合いました。

大の大人が情けない、なんて言われたら、寅さんが出てきて言うでしょう。「それを言っちゃあおしめえよ」。カワイイは老若男女を問わず湧き出る自然な感情です。こんな当たり前なことを躊躇せず言う勇気を与えてくれるつちまる。

カワイイだけが取りえじゃない、なかなかやり手のデキる奴だと思うのです。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)