【コラム・坂本栄】NEWSつくばの筑波研究学園記者会への入会がこのほど承認されました。同記者会はつくば市とその周辺地域をカバーする新聞・通信・テレビ・ラジオ記者の取材拠点ですが、ネットメディアが会員になるのは初めてです。地域ニュースを伝える本サイトの実績と役割が認められたと言えるわけで、メンバー各社の理解に感謝しております。

土浦記者会への入会手続きも開始

2017年10月にスタートした本サイトの編集方針は、コラム67(2019年11月4日掲載)でも触れましたように、「比較的若いまち 研究学園都市つくば市の諸相」「商業都市から観光都市に脱皮しつつある 歴史あるまち土浦市の諸相」を、地域ばかりでなく全国にも発信することです。この3年3カ月、地域のいろいろな話題のほか、税金で仕事をする行政の観察にも力を注いできました。

これまで記者クラブの「外」にいたかというと、そうではありません。記者会の会員であったFM放送「ラヂオつくば」の特約記者として、記者会が関わる会見などには出席、ラジオや本サイトで発信してきました。これからはNEWSつくば記者として活動することになります。

非営利のNPO法人NEWSつくばの執筆陣は、旧常陽新聞(1948~2017年)の記者経験者、元専門紙の記者や問題意識の高い市民記者、各分野で活躍してきた(今も活躍している)コラムニストで構成されています。地域紙出身者が記者会のルールに通じていることも、入会に際して考慮されたのだと思います。

学園記者会入りが認められたことから、現在は市長会見への「オブザーバー出席」だけが認められている土浦市政記者クラブへの入会手続きも開始しました。地域の各種情報ソースへの経路を広げ、本サイトの発信力を強めていく考えです。

記者クラブの対外開放では悪役に

記者クラブについては苦い思い出があります。通信社の証券部長時代(1990年代半ば)、ブルームバーグ、APダウジョーンズ、ロイターなどの米英メディアが東京証券取引所の記者クラブに入会したいと言ってきたとき、私は反対の旗を振りました。外国勢が上場会社の業績といった情報に日本勢と同条件でアクセスできるようになると、競争上まずいと判断したからです。

これに怒った米国勢は、「日本の記者クラブは閉鎖的だ」と、日米摩擦の一つに仕立てました。米政府の抗議を受けた日本政府は報道各社の説得に動き、記者クラブが外国勢にも開放されるようになり、今に至っています。金融証券情報を扱う内外メディアの激突を描いた『勝負の分かれ目』(下山進著、講談社、1999年)で、私は時代の流れ(記者クラブの対外開放)に抵抗する悪役として登場しました。

それから四半世紀。伝統メディアを主会員とする在京記者クラブでは、内外差別は解消されたものの、ネット系など新興メディアの扱いをめぐってはギクシャクがみられます。それに比べると、われわれのような弱小ネットの入会にOKを出した学園記者会は開放的です。25年前の私の振る舞いを反省しながら、以上、NEWSつくばの近況をお知らせしました。(NEWSつくば理事長)