【コラム・浅井和幸】今回は、「学びか?勉強か?」ということで考えていきたいと思います。と言っても、国語辞典で正確な概念を知識として蓄えようという趣旨ではありません。何となく日々の生活の中で、私たちが次のように捉えているのではないかというところから考えていきたいと思います。

さて、「学び」と聞いて、どのようなことを思い浮かべるでしょうか? 「勉強」と聞いて、何を思い浮かべますか? きっと、学びとは全ての新しい知識や知恵を得ることで、勉強とは学校のテストや資格試験で他人よりも良い点を取るためのものとイメージするのではないでしょうか。

なんとなく、学びは自発的で、勉強は我慢して社会や親から強いられてするものって気がします。学びは楽しく、勉強は苦しいというニュアンスを感じませんか?

どのような運動能力の人でも、自分にあった身体の動かし方で動くことは楽しいことが多いです。例えば、散歩や指の運動や手遊びなんて楽しいですよね。コンサートを見に行って、みんなでこぶしを振り上げたり、身体を一緒に揺らしたりするのも楽しいですね。しかし、学校での運動会やスポーツテストは嫌いな人も多いでしょう。

「学び」「勉強」「運動」「スポーツ」、一体何かが違うのでしょうか? 学校が関わっているかどうか? それもあるかもしれませんが、それだけでは一つ悪者を見つけたから安心しているだけのような気がします。

ポジティブな感覚を得られるか

私が感じるのは、勝負、競争、合格不合格などがあり、それに勝つことが素晴らしいこと、

良いことという考え方が強すぎるためだと思います。なので、負け、不合格はダメなことですから、自分に合わないところでいつも勝負させられ続ければ、面白くないことを植え付けられてしまうのです。相手を蹴落とすというニュアンスも含まれますよね。

しかし、学ぶことや運動の中には、勝ち負けでない領域があるということです。クイズ番組を見て新しい知識を得ることも、去年まで弾けなかった楽器が弾けるようになることも、少しだけ昨日よりも軽快に歩けることも楽しく感じられた経験はないでしょうか。

「昨日の自分よりもより良く」を意識しすぎると、また自分との勝負になって苦しくなる人もいますから注意が必要です。勝負の楽しみが分かるまでは、負けても次に勝てるという喜びを知るまでは、勝負事は刺激が強すぎるのです。何かの知識を得るとき、何か身体を動かすとき、どのようなことで自分が楽しいとか、うれしいとかのポジティブな感覚を得られるか試してみてください。

ちなみに、楽しいと感じる方が、新しい知識や、新しい身体の動きを覚えるには有利らしいですよ。自分自身でも楽しむ技術を身に着けられるとよいですね。

学びは楽しい。勉強は苦しい。運動は楽しい。スポーツは苦しい。さて、あなたの人生は、楽しいですか? 苦しいですか?(精神保健福祉士)