【コラム・浅井和幸】私達は、毎日毎日、様々な選択をしています。靴下をどちらの足から履くかというささいなものから、プロポーズをするかとか、どの職業に就くかとか、人生の大きな分かれ道のものまでです。それは、無意識レベルから、長い時間をかけて悩んで答えを出すレベルまで、様々です。

いつも忙しくて選んでいる暇なんてないよという方も多いことでしょう。そういう方は、無意識でいつもと同じ選択肢を選んでいることがすべてなのかもしれませんね。

自分が選んでいるのではなく、それしかないから仕方なくだよ、という方も多いことでしょう。そういう方は、こうすべきという決めつけで、状況のせいにして自分の希望の選択を後回しにしているのかもしれません。

今、幸せである人、好循環でますます幸せになっている人であれば、無意識の選択や流された選択でもよいのかもしれません。しかし、今が苦しいとか、悪循環を起こしているとかで、どうにかしたいと考えるのであれば、この選択ということを意識して考えることが大切です。

人というものは、私たちが考えている以上に、積み重ねることや今を耐えてより大きな満足を得ることが苦手です。また、目の前の小さな苦を避ける傾向もあります。例えば、目の前に大好きな粒チョコを1つ置きます。今すぐ食べてもよいのですが、10分待ったら3つ食べてもよいというルールがあるとします。意識して考えると3つ食べたいのに、目の前の1つのチョコを食べてしまうようなものです。

自分の望みに近づける行動

また、半年待てば10万円で買えるものを、今すぐ欲しいので11万円で買ってしまう性質もあります。ローンを組んで物を買うというのは、そのようなことですよね。小さな摩擦を避け続けるために、ストレスがたまって大喧嘩をしてしまうという経験はしたことがないでしょうか。

ほとんどの人は、幸せになりたいとか、金持ちになりたいとか、健康になりたいとかの望みを、ある程度は真剣に持っているでしょう。しかし、これらは積み重ねなければ達成できません。

毎日の生活の中で、「幸せ」「お金」「健康」をないがしろにして優先する快楽だったり、危険を避けるだったりの行為を優先してしまうことがあるでしょう。人や自分自身の悪口を考えたり、言ったり、何で買ったのだろうと後悔するようなものを購入したり、運動せずに暴飲暴食をすることを優先して行うなどです。

毎日が忙しく、無意識に行動してしまっている。よくないと思っていても、面倒だから行動している。それらの行動は、本当に仕方のないことでしょうか。自分の希望よりも優先して選ばなければいけない選択肢なのでしょうか。

もう一度だけ考え直して、自分の望みに近づけるような行動はできないのか試してみてください。人とのささいな勝負に勝つのではなく、様々な困難に克つことを大切にできるとよいと私は考えています。(精神保健福祉士)