【コラム・川端舞】秋の味覚、さつまいも。近所の畑からたくさんもらい、どうしようか考えていたところ、誰かが「さつまいもご飯にしてもおいしいよ」と言っていたことを思い出し、作ってみることにした。

インターネットで検索したレシピをもとに、調理を開始。と言っても、私自身は台所に立つことはできないため、台所の床に座ったまま介助者に指示を出して、介助者に調理してもらう。

「さつまいもを洗って、切る」と私が指示を出すと、介助者が冷蔵庫からさつまいもを取り出し、台所で洗う。床に座っている私には、台所の上は見えないので、介助者はまな板と包丁を床に置き、私の見えるところでさつまいもを切る。さつまいもをどんな大きさで切るか、私が細かく伝えると、介助者がその通りに切っていく。

さつまいもが切り終わったら、介助者にお米をといでもらう。といだお米は釜に入れられ、私の目の前の床に置かれた。

「みりんを大さじ2杯入れて」。レシピを見ながら、介助者に指示を出し、介助者は私の指示通りに調味料を入れていく。最後に水をどのくらい入れるかを介助者に伝え、介助者がお釜に水を入れ、炊飯器にセットしたら、スイッチON。

失敗できる楽しさ

炊き上がったさつまいもご飯をさっそく食べてみると、思ったよりご飯がベチャベチャ。水を入れすぎた模様。でも、誰かに食べてもらうわけでもないし、自分で責任をもって食べれば問題なし。

今度作るときは、ちゃんと水の量もインターネットで調べてから、やってみよう。こんなふうに試行錯誤しながら料理をするのが、私は楽しい。

重度障害者は自分1人では何もできない。その代わり、障害者が介助者に指示を出して、介助者にやってもらったことは、障害者が自分でやったことと見なしてよいという考え方が自立生活センターにはある。裏を返せば、障害者側が誤った指示を出し、障害者の指示通りに介助者が動き、それが結果的に失敗に終わったら、失敗の責任は、介助者ではなく、誤った指示を出した障害者にある。

厳しい考え方のようだが、幼いころは、ささいな失敗でも、親に怒られないか、学校から追い出されないか、びくびくしていた私には、失敗しても、誰にも怒られることなく、どうしたらうまくいくか、自分で試行錯誤できることがうれしく感じる。(つくば自立生活センターほにゃらメンバー)