【コラム・浅井和幸】自分は、追い詰められないと物事が始められない。そう考える人は多いのではないでしょうか。やる気スイッチがあればよいのにと、締め切りギリギリ、約束の時間ギリギリになってしまうときに、思ってしまうものです。

そういう私も、今、この原稿を日付の変わるギリギリに書き始めています。あまり説得力がないことは分かっていますが、とりあえず、そんなヤツの話でも聞いてやろうかという寛容な気持ちで読んでいただけると幸いです。

まずは、やる気が起きないときに、私たちが行っていることは何でしょうか。

(1)嫌な作業であり、先々まで、いろいろと考えてしまう
(2)なんとなく、ダラダラした状態である
(3)緊張し過ぎ、「…しなきゃ」と考えれば考えるほど、身体が動かない
―などは代表的なところでしょうか。

まず、(1)です。なかなか物事を始められないときというのは、嫌なことを考えて1歩目が動かないように考えてしまっています。その作業は、嫌なことだから避けよう、始めないようにしようとしてしまうのです。

やる気というのは、行動した後に出てくるものだと心得ましょう。大掃除をするのはおっくうで先延ばしにしてしまいますが、とりあえず机の上を拭いたら、別のところの汚れも気になり始めて、さらに掃除をしたくなるという経験をした人は多いでしょう。

あまり立派な計画を立てずに、目の前の一つだけを片付けます。とりあえずで構いません。体の位置を変える、目をぐるぐると動かす、手を握ったり開いたりする、その場で足踏みをする。何か簡単にできるところを動かしてみましょう。

完璧性よりも最初の一歩が大切

(2)はリラックスし過ぎ、(3)は緊張し過ぎということになります。物事を始める前は、適度な緊張が必要です。

(2)の場合は、少し緊張に持っていくために、手で体を軽くたたいたり、「よしっ」と声を出して気合いを入れたり、顔に力を入れて、表情だけでも気合いを入れるのです。その場でストレッチや軽い筋トレを初めても、面白いかもしれません。

(3)は、緊張し過ぎているので、少々、リラックスに持っていく必要があります。その作業の好きなところを考えたり、作業が終わったらゆっくり休めるとか、褒められることを想像したりします。

少々無理やりにでも、笑顔をつくったり、笑い声を出したりしてもよいです。作業をしなければいけないと自分を追い詰めるのではなく、これができたら嬉しいことが待っていると意識するようにしましょう。

全てを完璧に仕上げることよりも、とりあえずの初めの一歩が大切であることを感じましょう。いろいろ試してみて、自分らしいルーティーンを楽しみながら見つけてみてください。(精神保健福祉士)