【コラム・坂本栄】今秋のつくば市長選挙に、2期目を目指す五十嵐立青さんに挑戦すると、富島純一さんが立候補を表明しました。コロナ禍で選挙戦にならないのではないかと心配していましたが、42歳の五十嵐さんと37歳の富島さんの激突になりそうです。以前のコラム「つくば市長選 2つの風景」(7月6日掲載)でも触れましたように、政治家も政策も選挙で鍛えられます。若い2人のバトルが楽しみです。

挑戦者・富島さんの出馬会見については、「会社経営の宮島純一氏が出馬表明」(8月31日掲載)をのぞいてください。現職・五十嵐さんの続投表明については、「2期目へ、五十嵐市長が立候補表明」(2月27日掲載)をご覧ください。この間6カ月。選挙の構図がやっと整いました。

挑戦者と現職者 それぞれの強み

挑戦者にとって有利なのは現職の「失政」を突けることです。経営者歴16年の富島さんは記者会見で、五十嵐さんの失政(総合運動公園問題が未解決、TXつくば駅周辺整備が停滞など)を念頭に置いて、「1期4年で結果を出せないのでは動きが遅い。経営では毎年結果を出さなければ倒産してしまう」と、現職の力量に疑問を呈しました。

思い起こすと、4年前の選挙では挑戦者だった五十嵐さんも、前市長の失政(総合運動公園計画を発表市民の多くが計画に反対住民投票の結果を受け計画推進を断念)に乗じて、前市長の後継候補を破りました。攻めの富島さんが、今度は守りの五十嵐さんをどう攻めるのか、注目しています。

出馬表明が遅れた富島さんにとって不利なのは、現職の五十嵐さんに比べ、知名度が低いことです。しかも、新型コロナ禍で大集会や小会合が思うように開けませんから、圧倒的に不利です。富島さんはこうしたハンディキャップを、印刷物の大量配布、ネットの活用などでカバーするそうですが、十分な展開ができるのか、こちらも注目しています。

「合意形成」型と「代表率先」型

五十嵐さんと富島さんのキャリアは対照的です。五十嵐さんは大学院卒で市民運動家・市議上がり、富島さんは中学卒で起業家・会社経営者上がりと、両候補のコントラストは際立っています。

会見で対抗馬との違いを質問された富島さん、「ひとつは学歴。もうひとつは、五十嵐さんはイケメン、私はこんな顔」と、笑いを取っていました。あとで聞いたところ、市長になるまで本格的に組織を動かしたことのない頭デッカチの五十嵐さんと、各種法人を立ち上げ現場を動かしてきた自分とでは地頭(じあたま)が違うと、引け目はありませんでした。

五十嵐さんの市政運営スタイル、富島さんの会社経営スタイルから見て、2人の違いは仕事の進め方の違いだと思います。市長としての五十嵐さんはコンセンサス(合意形成)型でしたが、富島さんはリーダーシップ(代表率先)型になるでしょう。今、つくば市が必要としているのはどちらでしょうか?(経済ジャーナリスト)