【コラム・吉田礼子】極上などというと高値、高ければ美味しいに決まっているという方もいらっしゃるかと思いつつ、同じ茶葉でも入れ方でこんなに違うということが今回のお話です。お茶と言えば、煎茶(せんちゃ)が思い起こされるでしょう。

新婚のころ、主人の実家で教えられたことは、お客様がいらしたときは挨拶したらまずお茶を出すこと、茶葉は切らさないようにということでした。子どものころ、母が入れたお茶をお盆に載せて平らに持ち、お茶を出したことを思い出しました。

当時、急須(きゅうす)でお茶を入れることは普通のことでした。半世紀の間に様変わりして、今のお茶の時間は、コーヒー、紅茶、中国茶、ハーブ茶など様々。日本茶に急須を使わないお宅もあるようです。ペットボトルの飲料がない家は皆無でしょう。

お茶を入れる手間、後片付けは面倒とは思いますが、美味しいお茶を出されたときの感激は忘れられません。でも、なかなか思い通りに入れることができず、濃過ぎたのではなどと自責の念にかられます。そこで、美味しいお茶を入れる方法を研究。試行錯誤の末に、お湯の温度、茶葉の量、急須や茶碗などの温め方など、やっとお客様に出せるようになったような気がします。

美味しいお茶の淹れ方

▽まず急須に入る湯量を計り、沸かしたお湯を入れる
▽急須のお湯で茶碗を温め、1人約80ccで何杯分かを確認する
▽茶碗の個数×2グラムの茶葉を急須に入れる
▽茶碗のお湯を急須に戻す
▽1分ぐらい蒸らし茶碗に入れる
▽2煎目のお湯は冷ましてから入れる

そんなお茶の入れ方を意識していたころ、久しぶりに仙台に帰り、母が入れたお茶をひと口。本当においしい。昔、母とデパートに行ったとき、茶葉の手揉(も)み実演を見たことを思い出しました。茶葉が針のように細長くピンとしている。1本いただき口に含む。お茶の香りとほろ苦さが広がる。唾液がジワーっと湧き甘く感じる…。

そんなお茶を入れられたらと思います。煎茶の温度は熱過ぎないように(茶碗の中は55~60度)に。お鮨(すし)屋さんのお茶はアツアツですが、口の中の鮨ネタの脂っこさを取ったり、殺菌のためだそうです。コロナ禍のため、家にいる時間が増えたことと思いますが、時間をかけて、美味しいお茶を入れてみてはいかがでしょう。(料理教室主宰)