【コラム・浅井和幸】先に答えを言うと、「暑いから」ではなく、「熱いから」です、という先日の会話をお届けします。

A君「暑いっすねぇ。梅雨なんて早く明けろなんて言ってた自分はどこ行った?ってぐらいに、早く夏が過ぎて欲しいっす」

浅井「ははっ、そうだね」

A君「もう、汗かきっぱ、水飲みっぱ」

浅井「若いからねぇ。汗もドンドン、かくといいよ」

A君「若いから?」

浅井「うん、歳をとると、汗の量が少なくなるらしい。足とか体の下から、汗の量が減ってくるってさ」

A君「へぇ。それって心理学っすか?」

浅井「そんなわけないでしょ。生理学の類かな?わかんないけど。ところでさ、どうして汗をかくんだろうね」

A君「そんなの、暑いからに決まってるじゃないっすか」

浅井「なにが?」

A君「なにがって、気温とか、室温とか」

浅井「うん、そうだね。それも要因にはなるかな?」

A君「なにかのひっかけ問題ですか?」

浅井「いやいや、いつも俺が意地悪をするわけじゃないよ。じゃ、別の質問。汗を止める方法は何?」

A君「それは、エアコンに決まってるでしょ」

浅井「そうだね。エアコンで涼しければ、汗はおさまるね」

A君「それ以外ないですよ。あっ、うちわであおいでも汗はとまる。危ない、また上げ足を取られるところだった」

汗が蒸発するとき体温を奪っていく

浅井「いやいや、意地悪じゃないって。じゃ、寒い冬にマラソンをしたらどう?」

A君「あれ?汗かきますね。寒いけど。熱いから」

浅井「何が熱い?」

A君「体が」

浅井「そうだね。暑い夏に、プールに入り過ぎて唇が青くなるような体験はない?」

A君「自分はないっすけど、クラスメートでは昔いましたね。ブルブル震えてました」

浅井「そう、プールで体が冷えたから、気温が暑いのに汗をかくどころではなく、体を温めようと震えちゃう」

A君「なんか分かってきた気がします。外や部屋が暑いから汗をかくだけではなく…」

浅井「…」

A君「もう、意地悪しないで教えてくださいよ」

浅井「だから意地悪じゃなくて、考えることも大切なんだって。ま、いいか。汗をかくのは、体温が高いから、それを下げるために発汗するんだよ。気化熱っていって、汗が蒸発するときに体温を奪っていくんだ。体温調節で、気温が低くても汗はかくし、気温が高くても震える」

A君「で、それは、何かいい話になるすか?」

浅井「特にするつもりはないけど、そう言われると何かにこじつけたくなるね。そうだな…汗が出るほど暑いときに、エアコン調整ができなければ、タライに水道水入れて足を突っ込んでもよいし、ペットボトルに入れた水を凍らせて、タオルを巻いて体に当てるとよいよ」

A君「それ、いい話ではないです」

浅井「もう、面倒だなぁ。人は原因を固定観念でとらえて間違ってしまうと、固定された対処法、間違った対処法しかできなくなるよ」

A君「おっ、なんとなくよい話になった」

浅井「はいはい、ありがと」(精神保健福祉士)