前回の《泳げる霞ケ浦へ》1では、霞ケ浦市民協会初代理事長の堀越昭さんから、第6回世界湖沼会議(1995年)の後のこと、来年の第17回湖沼会議誘致の経緯について触れていただきました。リレーコラム2番手の私は、霞ケ浦市民協会の目標「泳げる霞ケ浦」を市民協会が言い出した経緯、それから来年の会議で市民が取り組むべき課題について述べたいと思います。

我々は市民の立場で霞ケ浦の浄化やまちづくりに取り組むため、シンポジウムやパネルディスカッションを何度も開催しながら、分かりやすく、取り組みやすい目標(キャッチフレーズ)が必要だと痛感していました。なぜなら、市民が理想とする霞ケ浦のイメージを思い描けない状況では、具体的な取り組みができないからです。

議論の末にメンバーが合意したキャッチフレーズが「泳げる霞ケ浦」でした。特定の動物や植物をシンボルにするのではなく、誰もが思い描ける霞ケ浦の姿を目標にしたわけです。

海の日(7月の第3月曜日)に開催している「泳げる霞ケ浦市民フェスティバル」でも、多くの市民団体や行政機関がこの目標を具体的に発信してくれています。「泳げる霞ケ浦」という言葉が茨城県や国土交通省の発信する文面の中でも頻繁に登場します。このキャッチフレーズを最初に使い出した我々としては大変うれしく思っています。

市民協会は過去何度も遊泳場の水質検査を行いましたが、大腸菌の数や水質などで「泳いでも大丈夫」の地点が複数あります。しかし、透明度や安全面など、次のステップである「泳ぎたくなる霞ケ浦」までには問題が山積みです。

我々市民団体や霞ケ浦で生業を立てている多くの人にとって、理想とする霞ケ浦はどんな霞ケ浦でしょうか?

湖沼会議・本会議の「霞ケ浦セッション」では、霞ケ浦の未来像を議論するプログラムもあります。また、県内5カ所にサテライト会場が設けられます。これらの場で各地域の問題点や取り組みはもちろん、「市民の考える霞ケ浦のグランドデザイン=霞ケ浦の未来像」についても、じっくり話し合っていただければと思います。

湖沼会議の後、参加した市民団体や市民が、研究者、行政機関、企業と知恵を出し合い、霞ケ浦を素晴らしいものにする活動を展開することが、会議の本当の成功といえるのではないでしょうか。参加しない市民、関心のない市民に、「霞ケ浦から受ける恵」を発信していくことが我々の使命といえるでしょう。(一般社団法人霞ヶ浦市民協会理事・吉田薫)