【コラム・坂本栄】国や県のコロナ警戒レベルは下がりましたが、マスク着用とか対人距離など、まだ不自由な日々が続いています。コロナ問題を何度も取り上げてきた本コラム。今回は、「いま、つくば市政が面白い」(6月15日掲載)、「つくばの市長戦まで5カ月」(6月1日掲載)で扱った話をフォローアップします。

本コラムに市から抗議!

「いま、つくば市政が面白い」では、市が4月に発表したコロナ施策の目玉「市内事業者応援チケット事業」について、「(市は制度設計を)内々に変えました」と指摘したところ(詳しくは上の青字部をクリックしてご覧ください)、市の幹部から「変えていない」と抗議の電話が入りました。これに私は以下のように反論しました。

1点目は、事業の柱であるクラウドファンディング(CF)について。CFとは「リスク承知の投資資金をネットで集めること」です。したがって、応援者がおカネを払い込む際に受け取るチケットが紙クズになっても、おカネを集める側に払い戻し責任はありません。ところが市は、この事業を発表したあと、チケットに「払い戻し保証」を付けました。設計の基本を変更したわけです。

2点目は、応援チケット事業の事務局について。市議会への議案説明、そのあとの市長記者会見では、事務局として「つくば観光コンベンション協会」などの業界団体が例示されていました。ところが最終的には、事務局は業界団体=民ではなく、市役所=官に置かれることになりました。これも大きな変更です。

それなのに、市はなぜ「変えていない」と言い張るのでしょうか? どうやら、変更を認めるのは格好(かっこう)が悪いと思っているようです。でも、いま流行(はやり)のCFでおカネを集めてチケットを配るという事業の設計のうち、CFはリスクマネー(大損覚悟のおカネ)の受入口ではなく、払い戻し保証を付けることによって、単なる入金口座に機能が変更されました。こうしなければ、市はリスクのある投資事業(!)を運営していたことになりますから、賢明な変更といえるでしょう。

要は、入金先をCFでなく銀行口座の類にしておけば、迷走はなかったのです。秋の市長選挙を意識した現市長のパフォーマンスは、何かと手違いを引き起こすものです。

コロナは市長選の障害?

もう一つのコラム「つくばの市長選まで5カ月」では、「(現市長のほかに)保守系の現職県議が着々と(立候補の)準備を進めています」と書きました。こちらも、詳しくは青字部をクリックしてください。ところが、先月、この挑戦者は出馬を断念してしまいました。

政治家も政策も選挙で鍛えられます。現県議と現市長との激戦と読んでいただけに、残念です。戦線離脱の理由について、コロナ禍が長引き思うように活動できないと話しているそうですが、いろいろあったようです。準備はかなり進んでいたと聞きますから、この県議にとっては大きな政治的失点になります。新しい挑戦者の登場を待ちましょう。(経済ジャーナリスト)