【コラム・浅井和幸】梅雨の真っただ中。じめじめして憂鬱(ゆううつ)な人も増えているのではないでしょうか。古傷が痛んだり、喘息(ぜんそく)がひどくなったりということもあるかも知れません。

私の知り合いにも、これらの症状を持たれている方がいます。ある人は、遠い南の海に台風などが発生して日本に近づいてくるとき、どんどん気圧が低くなっていくとき、心身ともに不安定になって一番苦しいそうです。低気圧や台風が自分の住んでいるところに居座ってしまったら、調子が悪いのは確かだけれど、悪いなりに安定するからまだマシなどと言っていました。

雨が降るときに心身の調子を崩す人たちに上記のことを伝えると、そこまで細かく気にしたことはなかったけれど、そうかも知れないという回答が返ってきます。

雨だろうが低気圧だろうが、関係ない人にとっては、そんなものは気のせいだろう済んでしまうかも知れません。しかし、インターネットで「低気圧不調」や「天気痛」などのワードを検索してみるとよいでしょう。意外と不調に悩まされている方が多いことも分かるかも知れません。実際、大学病院内に「天気痛外来」というものもあります。

さすがにここまでくれば、医学的に、生理学的に、体調に天気が関係してくることは分かりますよね。もちろん、体調に不具合が生じれば、精神的、心理的にも不調をきたしても不思議ではありません。

安心感を得る心理的な対処法

それどころか、身体的なものよりも先に、心理的とか精神的に、脳の反応として低気圧が近づくときに不調が起こっても不思議ではないのです。以前、ケガをしたときに抑うつ状態になることで暴れまわらずにじっとしていて、ケガが治りやすいという効能があるとお伝えしたことがあります。

では、私たち人間の歴史として、天気が悪いときはどのようなときでしょうか。天気が悪いときに、狩りや漁に出かけたり、山菜の採取や田畑の作業に出かけたりしたら、大きな事故に遭う確率が上がるでしょう。足元が悪く滑ったり、がけ崩れなどの災害に遭ったりするかも知れません。そんなときに、膝の故障に気付かなかったら、さらに危険が待ち構えています。

そうならないためには、不安やだるい、やる気のない状態となり、家で待機することで生き延びる機会を増やしてきたのかも知れません。また、天気が悪いときに、自分の心身の調子が悪いことを普段より敏感に察知することで、危険を避けることが出来るかも知れないのです。

現在では様々な危険が社会的に対処されていて、危険回避機能が結果的に過敏と評価を受けることもあるかも知れません。しかし、その機能が悪いものであると捉えるのと、必要なものと捉えて過剰な部分だけ緩和する対処法を探すというのでは、全く違ってくることでしょう。

様々な治療もありますし、心地よい安心感を得るような心理的な対処法も考えられます。ダメだと自分を責めずに、まずは何か好きな飲み物を飲んで、リラックスすることから始めてみてはいかがでしょうか。(精神保健福祉士)