【コラム・及川ひろみ】今回は初夏の宍塚の里山の「ぶらっと歩き」です。出発は土浦学園線近くの「ふれあい農園」。農園近くには、親子で年間を通し活動をする「子ども田んぼ」、無農薬、無化学肥料、耕さない田んぼなど「自然農田んぼ塾の田んぼ」、そして農家の方が耕作する「宍塚米のオーナー制の田んぼ」と、3種類の田んぼが並んでいます。

田んぼの上空には里山の鷹「サシバ」が悠然と飛び、運がよければ田んぼのカエルを狙う姿が見られます。田んぼを過ぎると、若いアシが一面に広がるあるアシ原が広がります。アシ原ではオオヨシキリが「ぎょうぎょうし、ぎょうぎょうし」と、「仰々しい」の語源になったとされる賑やかなさえずりが聞かれます。

宍塚では、アシの上ではなく、近くの樹の枝で鳴いていることもしばしば。そんなときには、近くの木を仰ぎ見てください。オオヨシキリは一夫多妻(二妻)の鳥です。鳴いているのは雄、アシ原での子育ては複家族?

人の気配を感じると鳴き止んでしまうこともありますが、一時なりを潜めても間もなくまたけたたましく鳴き始めます。茶色で目立ちませんが、鳴いているときの口の中は真っ赤。驚くような赤さです。この赤色は仲間に元気であることを伝える手段といわれています。

カイツブリ、シジュウカラ、ヤマガラ…

ふれあい農園から小川沿いに歩き、最後少し坂を上がると、目の前に宍塚大池が広がります。大池ではカイツブリがキリッキリッ、キリリリと鋭く鳴き、雌雄が鳴きかわす声が池に響き渡っています。

そして、親の周りを泳ぐカイツブリの子どもも見られます。カイツブリの好物はアメリカザリガニ。今年、宍塚大池ではアメリカザリガニが大発生。ザリガニ好きのアオサギ、ゴイサギもよくみられます。

カイツブリ。何か異変を感じれば、ピッ、ピッと鋭い声で仲間に合図を送ることもしばしば。上空にはオオタカなどが小さな命を狙っています。生き延びることは大変。池のほとりの林では、キビタキが明るい声でピヨピ、 ピッピキ、ピピッピキピなどと、美しい鳴き声が聞かれます。

初夏の里山は木々が生い茂り、小鳥の姿を確かめることは難しいのですが、耳を澄ますと、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガなど、小鳥のさえずりをいろいろ聞くことができます。

新型コロナウイルス問題で遠くに出かけることがはばかられる昨今、親子、カップル、グループで里山歩きをされる方が増えています。身近なところにこんな素敵なところがあったと、大層驚かれる方もいます。じっくり里山をそぞろ歩きすると、日ごろ見落としていた小さな命、驚きの命にめぐり合えること請け合いです。(宍塚の自然と歴史の会代表)