【コラム・川上美智子】4月に開園したばかりの本園は、予期せぬ新型コロナウイルス感染症の流行に遭遇し、竣工式も、入園式もすべて中止し、4~5月は、感染予防・感染防止対応に終始しました。特に、首都圏通勤者の多いTX沿線のつくば市などは、4月2日に、知事より不要不急の外出自粛要請が出て、にわかに危機が迫ってきたことを感じ、対策の強化を余儀なくさせられました。

当園では、4月中旬に風邪症状を示す園児が10名前後も出て心配をしましたが、子どもたちは間もなく回復し、コロナではなかったのだと安堵しました。その後、政府の緊急事態宣言などを受け、小学校の休校や保育園の登園自粛などが出されましたが、保育園も、併設の児童クラブも、働く保護者がいる限り休園はしない方針で、保育士始め全職員が前線で頑張ってきました。

もとより、保育園は、新型コロナウイルスに限らず、感染症の宝庫で、次々と子どもたちが病気を持ち込むのが当たり前の場です。また、保育室の中で、子ども同士、保育者と子どもの間の密な環境を避けるのは、ほぼ不可能です。

そのため、感染症が広がらないように、園をつくる段階で、いろいろ感染症対策や安全対策を講じてきました。従来の次亜塩素酸ソーダによる消毒、アルコール消毒に加え、次亜塩素酸水製造装置の導入、非接触型の体温計の利用、おしぼり製造装置の導入、哺乳瓶殺菌庫、玩具のUV(紫外線)殺菌装置、HACCP(危害要因分析必須管理点)に準じた厨房装置などなど、出来る限りの装備をして保育を行っています。

2波、3波が来たときどうするか

保護者や訪問者には、マスクの着用、ハンドソープ、使い捨てペーパータオルを使った手洗とアルコール消毒をお願いしています。それでも、外から持ち込まれる感染症を予防することは難しい状況です。今後、第2波、3波が来たときどうするか、課題は残ったままです。せめて、PCR検査や抗体検査がスムーズに受けられる環境を国や県にはつくっていただきたいものです。また、治療薬やワクチンの早期開発が待たれるところです。

このような中でも、子どもたちは園での生活を楽しみ、成長し続けています。4月には鯉のぼり、5月にはお池の生き物の、大きな作品づくりにみんなで挑戦しました。この子どもたちが、安心して生活できる日常を早く取り戻したいと願うばかりです。(みらいのもり保育園園長、茨城キリスト教大学名誉教授)