【コラム・浅井和幸】先日、懐かしいクライエントAさんから電話がありました。緊急事態宣言が出されている状況の中、今は大丈夫だけれど、この先、どうなるか分からない不安が大きくなった。仕事も生活も今は安定しているけれど、今後、いつ仕事がなくなるかもしれないし、誰ともつながりが無くなってしまった場合を考えると、どうしてよいか分からないと話してくれました。

ちょっとした世間話をして、私が現在している居住支援の話もしました。最悪、手持ち金も、つながりも、仕事もなくなったとしても、私の携帯番号さえ知っていれば何とかなりますよ。お世辞にも豪華とは言えないけれど、住む場所と腹いっぱいの食べ物を提供しますよと、私はお伝えしました。

Aさんは、相変わらず私が、つくばで、茨城で活動を続けていることだけで、とても勇気が出てありがたいと言ってくれました。もちろん私も、そのように言ってもらえて、とても嬉しくて、これからも頑張っていける、とても勇気づけられた―と感じました。

心地よい気分でいた方がよい

心理療法の理論の一つに、交流分析と呼ばれるものがあります。20世紀の中ごろに、精神科医のエリック・バーンによって提唱されました。その中に、プラスのストロークというものがあります。簡単に言うと、心地よいやり取りということです。

私たちはともすると、こんな嫌なことを言う私でも、受け入れて欲しいという願望を相手に押し付けてしまいがちです。自分の悪いところや、弱いところを受け入れてもらえることは、安心感につながります。それ自体は悪くはありませんが、それを多用してしまい、受け入れてもらえない場面で、不快感が大きくなり、相手を責めてしまいます。

また、相手の悪いところを指摘することで、その相手よりも自分が優秀であるという優越感に浸ることで、自分のコンプレックスを隠そうとします。それは、嫌な気分、嫌な関係となり、生活の中で大きく引きずって悪影響になっていきます。

いつも無理してポジティブでいることを勧めているのではありません。ネガティブな気持ちを共有することも大切ですからね。しかし、心地よい気分でいた方が何かとよいことが多いですよね。

人は、言葉や雰囲気に引きずられるものなのです。なぜかこのごろ、嫌な気分のことが多いなとか、自分は運が悪いと感じるときは、悪い言葉やコミュニケーションに偏っている可能性があります。

ネガティブな言葉と同じぐらい、ポジティブな言葉や表情を意識してみてください。空や道端の花がきれい、お茶が美味しい、笑顔であいさつ、少しだけ自分を褒めてみる、ネットで楽しい動画を見る、周りの人の素敵な言動を感じてみる―なんでもよいです。ささいなことでよいです。

そのちっぽけなことの積み重ねが好循環につながり、人生を豊かにしてくれることでしょう。(精神保健福祉士)