【コラム・玉置晋】運用中の人工衛星に関わる仕事柄、僕は毎日、太陽を監視しています。とはいえ、望遠鏡をのぞいているわけではありません。人工衛星や地上の観測機器から得られた画像やグラフを見ながら、「今日の宇宙環境は静穏だから安心だね」とか、「太陽での爆発の影響が地球周辺にも及びそうだね」とか判断し、必要であれば人工衛星の運用者に注意喚起する取り組みを行っています。

こういった取り組みが仕事として確立しているのかといえば、まだ途上です。別な仕事の付帯的な位置付けで活動しつつ、徐々に確立していこうとしています。「求ム、宇宙天気アナリスト!」という求人情報が出る世界を目指しているところです。

地球のコアにはドロドロに溶けた金属が対流しており、電磁石の原理で地磁気を発生していますが、太陽から飛んできたガスの塊が太陽の磁場を運んできて、この地磁気を打ち消す現象が磁気嵐です。その結果、人工衛星が不具合を起こしたり、地上で停電が起きたりといった、影響が出ることもあります。

4月20日、太陽から噴き出すガスの塊が地球をかすめていたことを、皆さんは気付いていますか? この影響で、弱い「磁気嵐」が発生しました。

地球をかすめ、弱い磁気嵐が発生

弱いレベルの磁気嵐でしたので、幸いわれわれの生活への影響は皆無でしたが、もし、これが強力な磁気嵐だったらと思うと、恐ろしいものです。さて、この磁気嵐の元となった現象は、4月15日、太陽から淡いガスの塊が飛び出していたことにあります。地球を直撃するコースではなかったので、塊の端っこが地球にかすったようです。

僕は4月17日の時点で、このガスの塊の存在を認識していましたが、これが地球に影響を及ぼすかの判断は難しく、僕の予想では「磁気嵐は起きない」でした。まだまだ修行が足りませんなあ。

現在、情報通信研究機構宇宙天気予報センターから、24時間365日体制で、「宇宙天気予報」が出されています。みなさんも、是非、ご覧になってください。将来、「求ム、宇宙天気アナリスト!」が出たら、一緒に仕事をしましょう。(宇宙天気防災研究者)00