【コラム・玉置晋】3月14日はホワイトデーでしたね。モテモテの男子諸君はお返しのプレゼントの準備で大変だったことでしょう。僕はそのような苦労はなかったなあ。実はこのホワイトデー、宇宙に関連する日なのです。

1879年3月14日は、相対性理論を生み出したアルベルト・アインシュタイン博士の誕生日です。アインシュタインは、光速に近いスピードで運動する場合、時間の進み方が遅くなることを示しました。また、重力は質量を持った物体が周りの時空間を歪めることを示しました。実際にこの時空間の歪みは、遠くにある星の光が曲がって届く「重力レンズ」が働きます。

そして、宇宙は膨張していること、光をも飲み込む「ブラックホール」、時空のさざ波「重力波」の存在を予言していきます。これらは観測的にも実証されています。

宇宙の膨張は、1929年、エドウィン・ハッブルが遠くの銀河が遠ざかっていることを観測しました。ブラックホールは、2019年、「イベント・ホライズン・テレスコープ」プロジェクトでその姿をとらえました。重力波は、2016年、LIGO(ライゴ)という実験グループが、ブラックホールの衝突で生じた重力波をとらえることに成功しました。

アインシュタインが生まれ、ホーキングが亡くなった日 

そして2018年3月14日は、宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士の命日でした。アインシュタインの一般相対性理論を用いて、宇宙は特異点から誕生したことを証明する「特異点理論」。ブラックホールは熱を放出しており、最終的に蒸発する可能性があるという「ブラックホール蒸発理論」。果てのない条件から宇宙は生まれることはできる(宇宙には境界や端はない)という「無境界仮説」。

宇宙の始まりと終わり、ブラックホールについて書かれた「ホーキング宇宙を語る」は、小学生の自分にとっては難しかった。でも、小学生が手に取ることができる宇宙論を書かれたことがいかにすごいことか。本書を読んで、研究者を志した人が世界中にいると思います。

3月14日は、アインシュタイン博士が生まれ、ホーキング博士が亡くなった日。何とも言えない因果を感じませんか?(宇宙天気防災研究者)

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