【コラム・浅井和幸】新型コロナウイルスの脅威に振り回されている今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 世間の潮流には逆らえず、いくつかの相談会やギターの演奏会が、私の意志とは関係なく中止となりました。4月以降のイベントも、まだ開催できるかどうか分からない状況です。

この様な状況で、いろいろと不安が大きくなっていることと思います。未知なものは、何が起こるか分からないという不安を掻き立てます。マスクや消毒グッズが売り切れるばかりか、トイレットペーパーやティッシュペーパーまでが買い占められ、店頭から姿を消した時期がありました。

不安が大きいと、必ずデマが流れますね。ちょっとしたことでも、安心したいために、このような情報に飛びついて行動してしまうのです。

この不安ですが、あまり大きすぎてコントロールが出来なくなると、うつ病になることがあります。うつ病とまで行かなくても、気分が晴れない、意欲が出ず落ち込んでいる状態になることがあります。抑うつ状態というものです。

不安も抑うつ状態も、何の役にも立たずに苦しいだけなので、無くなって欲しいと捉えがちですが、実は、この二つにも立派な役割があります。

リスクマネジメント 何もしないことも必要

不安は、将来起こるかもしれない危険に対して備えることに役立ちます。不安になるから、勉強をしたり、危ない場所を避けたり、保険をかけたり、貯金したりという、リスクマネジメントが出来るのです。

不安がゼロのポジティブ全開の状態に憧れることもあるでしょう。しかしそれは、自分の車の運転技術を過信して、保険にも入らず、スピードを落とさず、急なカーブに突っ込んでいくようなものです。不安な予測から、ブレーキをかけ、適切なスピードにしなければいけませんよね。

では、抑うつ状態はいかがでしょうか。何もやりたくない、だるいような状態の何がよいのでしょうか。それは、怪我をしたときや病気をしたとき、疲労がたまっているときに有効です。骨折をしているのに元気に走り回っていては、骨がつながりにくいでしょう。

また、風邪をひいたときは、じっとしていて休んでいたほうが回復しやすいものです。疲労も、休憩もとらずに働いていては回復しません。(軽い運動をした方が、疲労が回復しやすいのは、今回は置いておきます)

一見、無くなってしまったほうがよいと思われる、ネガティブな感覚である不安や抑うつ状態でも、必要だからあるのです。だから、それを上手く利用していくことを考えてみて欲しいなと思います。

不安なんてなくなれ、抑うつ状態だから自分は不幸なんだ、これさえなければ…、と繰り返すだけでは、余計につらくなるだけですよ。(精神保健福祉士)

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