《宍塚の里山》56 人懐っこい鳥 ジョウビタキとルリビタキ

ジョウビタキ(右)とルリビタキ

【コラム・及川ひろみ】ジョウビタキは、冬近くになると庭によくやって来るなじみの渡り鳥。スズメより少し小型の愛らしい小鳥です。雄雌(おすめす)とも翼の中央に白い斑(まだら)があり、この白い模様が着物の「紋」に似ていることから、「紋付き」の愛称もあります。

「チッチッ」「ヒッヒッ」「カッカッ」と、比較的大きな響く声で鳴きます。これは縄張りを告げるサインで、冬の間は1羽で行動します。それは餌となる昆虫を独り占めするために、縄張りを宣言しているのです。

私は夏の繁殖期、中国西北部で雄を確認したことがありますが、繁殖地は極東ロシアから中国東北部とされています。カモなど水鳥は冬、雄が派手な色合いで、繁殖地では雌同様、自然に溶け込んだ色に変わりますが、ジョウビタキは夏でも羽の色を変えることはありません。

10月中ごろ日本に渡って来ますが、渡ってきた当初から、ジョウビタキは1羽で前年と同じ場所に来ると言われます。そこで雌が毎年来ているところは、しばらくして雌が到来します。

ルリビタキは、写真のように成熟した雄は美しいブルーです。しかし、若鳥や雌は、尾羽はブルーですが、全身薄い茶色の地味な色合いで、白い紋もありません。

ルリビタキも、冬季になるとジョウビタキ同様、人里近くにやって来ます。渡って来たばかりのころは数羽群れていますが、間もなく縄張りを持ち、ときにジョウビタキと縄張り争いをすることがあります。

人の行動に興味津々

この両種の鳥は、人には警戒心が少なく、人の行動に興味津々。庭仕事、里山活動をしているときなど、近くまでやって来て、こちらを観察しています。ミミズなどを見つけたら、投げてやるとついばみます。

人の行動に興味があるというより、人間活動が虫を追い出すことを知っているように見えます。これほど近寄ってくる小鳥は、ほかに知りません。冬季、虫だけでなくハゼやヌルデの実など、栄養価の高い木の実をよくついばみます。

ルリビタキは、冬季はユーラシア南部などの温かい所で越冬し、ユーラシアの亜寒帯やヒマラヤ山脈、日本では北海道の北部、本州・四国の亜高山帯が繁殖地です。

ジョウビタキは、最近なぜか夏場も日本にとどまり、繁殖する事例が増えています。特に、飛騨地方などで繁殖していることが記録されています。本来なら、4月ごろ日本を離れ繁殖地に向かうはずなのですが、理由は分かっていません。

身近な小鳥。ちょっと注意深く観察すると、新たな事実が見えてくるかもしれません。(宍塚の自然と歴史の会代表)

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