【コラム・室生勝】厚労省の地域づくりによる介護予防・モデル事業は2014年度から始まっている。毎年、都道府県や各市町村に促しているが、一向に全国的広がりをみないので、昨年4月、「これからの地域づくり戦略」という地域の状況を考慮した施策を発表した。

この中では「高齢化が進み、人手不足の時代が続く中、本人の力や住民相互の力を引き出して介護予防や日常生活支援を進めていくこと、ひいては地域づくりを進めることはとても重要」と述べられている。各市町村は、担当課に地域づくりに向く人を置き、社会福祉協議会と共同で取り組んでほしい。

「地域づくり戦略」では、体操などの「通いの場」がまちを変えるとして、①体操することで元気になる②集まることで地域がつながる③つながる地域がまちを変える―と、ラジオ体操が奨励されている。

週1回の体操なら、茨城県健康プラザ、太田仁史先生のシルバーリハビリ体操を脳トレにお奨めである。脳卒中による半身片まひがある人のために考案された体操で、腰掛けて行う。肩こりや肩の痛み予防、腰痛や膝痛の予防、股関節や転倒予防の運動などがある。毎週一つか二つを自宅でも行うことを奨める。

毎日の体操は小学生時から馴染んでいるラジオ体操である。NHKラジオで1日4回あり、いい時間を選べる。公園や空き地で、毎日続けると、身体機能を維持あるいは高めることができる。先進市町村の「ご当地体操」は高齢者には憶えにくく、毎日自宅で行うのには適さない。

ラジオ体操の素晴らしさ

つくば市の主な通いの場は、週1回以上の「高齢者地域ふれあいサロン」が数カ所、月1~2回の社協「ふれあいサロン」が94カ所ある。また、介護予防事業の一つである自主活動支援事業も、通いの場として今後推進される。主役は、いきいきプラザ運動教室で学んだ「運動普及推進員」である。

現在、普及推進員が自主活動リーダーとして、筑波2、谷田部1、桜1、茎崎3、豊里1の各地区と、いきいきプラザ4の計122カ所で運動サークルが開かれている。運動を主とした通いの場を増やすには、普及推進員を多数養成する必要がある。いきいきプラザは前期高齢者を対象に養成教室に転換すべきであろう。

後期高齢者の介護予防を提供する際には、①通いの場への車の運転を自粛してもらう②運動する前に健康チェックをする③自己健康管理法を学んでもらう④自宅でも毎日できる運動を奨める―などに注意してほしい。

ラジオ体操は、高齢者の介護予防に限らず、夏休みには子どもたちや母親世代と高齢者の3世代交流となり、地域づくりを進めてくれる。(高齢者サロン主宰)

➡室生勝さんの過去のコラムはこちら