【コラム・奥井登美子】ウイルスの殿様と家来がしゃべっている。

「なんだい、世界中が巻き込まれて、肺炎の、あの大騒ぎは」

「新型肺炎、コロナ君がチト暴れております」

「何で、中国にしたのじゃ」

「中国は国が広すぎて、情報が遅い。役所の通達が徹底しないから、暴れるのにちょうどいいのです」

「コロナは、ほかのウイルスよりも潜伏期間が長くしてある。たったそれだけのことじゃ」

「貿易も、交流も、観光も一部、閉鎖してしまいました」

「今の人間は、地球の保存を後回しにして、モッタイナイことばかりしおる。バチがあたったんだ」

「わけのわからないウイルス」にどう対処するか

ウイルスは、人類の歴史の中で、したたかに何億年も生きてきた。単独で生きることが出来ないウイルスは、他の生物の細胞が不可欠だ。どの生物を選ぶかは自由だが、たまたま人間の血液の細胞内で増殖すると、いろいろな病気を引き起こす。

人間の活動で地球環境が今、大きく変化している。気候変動もそのひとつだが、もしかして、ウイルスの変化も入っているのかも知れない。だとしたら、これからも、人間に取り付く、「わけのわからないウイルス」が出てくる可能性がある。

インフルエンザの予防接種ひとつとってみても、製品が出来上がるまでにたくさんの歳月と、学者の知恵と技術が必要であった。これからも発生するに違いない「わけのわからないウイルス」にどう対処するかが、人間に、私たちに問われている。(随筆家、薬剤師)

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