《宍塚の里山》55 「生物多様性アワード」優秀賞を受賞

授賞式のもようといただいた優秀賞の盾

【コラム・及川ひろみ】日本では長期にわたり人と自然の共生が維持されてきました。しかし高度成長期の土地開発や1960年代以降の燃料革命・肥料革命により、日本における人と自然の関係にも劇的な変化が生まれました。これは日本に限ったことではなく、人と自然の関係が保たれにくくなり、今日、人類の生存基盤である生物多様性の損失が大きな問題となっています。

こうしたことから、日本ではローカルな価値や知見を守ること、また日本独自の方法論の展開や実践が必要とされています。公益財団法人イオン環境財団は、2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催されるのを契機に、2009年、「生物多様性日本アワード」を創設しました。生物多様性の保全と持続可能な利用の推進を目的とした国内賞てす。

当会は昨年の第6回アワードに、「生物多様性の保全と環境教育」と題し、会が発足当初から掲げる活動目標そのものを題材に応募。9月26日、国連大学で行われた授賞式で優秀賞を受賞しました。

「地域の文化や自然に根ざした生物多様性の保全活動に、1989年の団体設立時から取り組む。特に里山の自然の歴史的文化的側面についての市民調査は先駆性がある。また子どもから大人まで参加できる自然観察会や農業体験会の開催、地域の学校での環境教育の実施、里山の保全活動や農業の実践など、幅広い取り組みを行っている」と評価されました。

当会は発足以来、地元の方からの聞き書き、自然環境調査に基づき、宍塚の多様な自然環境(森、池、谷津田、湿地、小川、草原、竹林など)の保全活動を行い、里山は世代を問わず環境教育の場として活用、活動してきました。このことが評価されたものと考えています。

大切にしていくべき里山の宝

近年暮らしも農業も急変した中で、農業と暮らしに欠かせなかった里山の存在価値はいったん失われたかに見えたが、聞き書きによって、大切にしていくべき里山の宝は何なのか、これからどのような里山をめざすべきなのかが明らかになってきました。

今の暮らしにいたる努力、がんばり、たくさんの技と知恵、里山の幸、豊かな文化、人々のつながり、一人一人の誇り、この定点の記録が里山の問題だけでなく、広く一般に、これからの暮らしや農業、自然と人間、人の生き方、社会のありかたを考えるのに役立つことが明らかになり、この聞き書きが私たちの活動の根幹になりました。

地元に支えられ、企業、行政、教育機関、研究機関など、さまざまな人・機関の連携・協働が今回の受賞につながったと考えています。

最優秀賞はコクヨ工業滋賀。「琵琶湖におけるヨシ刈り、外来魚駆除活動。刈り取ったヨシがビジネスに生かされ、CSR(企業の社会的責任)モデルになる取り組み」と評価されました。最優秀の団体の評価内容は、今後、当会の活動に生かしていきたいテーマです。

26日の午後1時から30分間、BS-TBSチャンネルで受賞団体の活動が放映されます。ご覧ください。(宍塚の自然と歴史の会代表)

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