川端舞さん

【コラム・川端舞】10月20日、筑波大学の体育館で「障害のある人もない人もみんなが楽しめる運動会」が開催されました。この運動会は、私も関わっている「つくば自立生活センターほにゃら」という団体が毎年企画しているイベントです。「ほにゃら」は、どんなに重い障害があっても、他の人と同じように地域で暮らしていける社会を目指して活動している障害者団体です。

この運動会の一番のポイントは、運動会当日だけでなく、種目を考える準備段階から参加者に関わってもらい、どうしたら障害のある人とない人が一緒に楽しめるかを、みんなで考えること。今年は、15人の小学生や大学生が運動会実行委員として準備段階から手伝ってくれました。

実際に子どもたちも車いすに乗ったりしながら、どんな種目なら障害のある人もない人も参加できるかを、「ほにゃら」のメンバーである障害者と一緒に考えました。運動会当日は「ほにゃら」のスタッフも含めた、総勢60人以上が参加し、チームで協力しながら、6種目で競い合いました。

少しルールを変えるだけで楽しめる

どうしたら障害のある人とない人が一緒に協力しながら一つのことを楽しめるかを、子どもたちが自分自身で考える機会は現在の社会では少ない気がします。しかし、たとえば小学校で低学年と高学年の子どもたちが一緒にドッジボールで遊ぶとき、自然と「低学年の子がボールを投げるときは、少し前から投げていい」というような新しいルールができることがあると思います。

それと同じように、「自分でボールを投げられない人でも使えるボール発射台を作ってみる」「車いすの人と競争するために、歩ける人も車いすに乗って競争してみる」など少しルールを変えるだけで、障害のある人とない人が一緒に楽しめる場が増えます。

どうすれば障害のある人とない人が一緒に楽しめるのか考える力を養いながら、子どもたちが成長していけば、障害のある人とない人が当たり前に一緒に生きていける社会に近づくはず。そのような思いで、この運動会は開催されています。来年も10月に運動会を開催する予定なので、興味のある方はぜひご参加ください。

全人口の15%、7人に1人は障害者

このコラムを読んでくださっている方の中にも、「障害者」というのはどこか自分とは遠い存在だと感じている方もいるでしょう。しかし、世界保健機関(WHO)によると、全人口の15%、7人に1人は障害者だそうです。

誰もが将来、自分自身が事故や病気で障害者になったり、障害のある子を授かったりする可能性があります。そのような立場になってはじめて慌てるような社会よりも、障害があっても他の人と同じように、学校に通ったり、働いたり、友達と遊びに行ったり、当たり前の生活を送れる社会になったら、障害者だけでなく、多くの人にとって生きやすい社会になるのではないか。

そう信じながら、このコラムでは、障害者である私の視線から見える社会の景色をご紹介したいと思います。(つくば自立生活センター「ほにゃら」メンバー)

【かわばた・まい】群馬県出身。生まれつき脳性まひという障害があり、電動車いすで生活している。2010年に筑波大学障害科学類への入学を機に、つくば市に引っ越し、介助者にサポートしてもらいながら、1人暮らしをしている。障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」で活動中。