【コラム・室生勝】4年間、健康自己管理を主目的とした高齢者の交流サロンを主宰してきて、後期高齢者の介護予防は少なくとも週1回実施して効果があることを実感している。青壮年層の年・月単位の健康チェックとは違い、週単位のチェックが必要であり、週1回だと生活のリズムにも合う。

後期高齢者の介護予防を実施する場所として、厚労省は地域の通所サービス施設(デイサービス施設やデイケア施設)、地域の高齢者サロンを想定している。通所施設は車で送迎しているが、サロンには送迎車はないので、歩いて通わねばならず、徒歩範囲内にサロンが必要である。

つくば市は本年度から「高齢者地域ふれあいサロン運営補助事業」を実施し、週1回、2回、3回の開催数に応じて補助金を交付している。11月末現在、週1型2カ所、週2型1カ所、週3型2カ所である。介護予防メニューは各サロンで異なり、健康講話、健康体操、スクエアステップ、カラオケ体操、スローエアロビ、脳トレなどを行っているようだ。

介護予防メニューを月1回以上実施することが、補助の条件の一つである。大半のサロンの健康講話とカラオケ体操は、健康増進課の出前教室を利用しているようだ。補助事業のサロンが増えれば、出前講座のスタッフが不足してくるだろう。社会福祉協議会が推進する各地の「ふれあいサロン」も、出前教室を利用している。

高齢者の居場所づくり

「ふれあいサロン」は月1回が多いが、週1回にしてもらえば介護予防サロンに転換できる。要介護と認定された人たちを除く65歳以上人口(要支援と認定された者を含む)がサロン参加対象者で、4万4647人(2018年10月)である。仮に1カ所の対象者数を80人とすると、558カ所必要となる。80人としたのは前期高齢者が約半分占めるからだ。

558カ所から、ふれあいサロン数94カ所(11月現在)を差し引くと、464カ所となる。歩いて通える場所を確保するのは可能だろうか。地区集会場、空き店舗、空き家、薬局やスーパーの空きスペースに期待するしかない。

通いの場の設置は全国の市町村ではどのように進行しているのか調べてみたら、2014年度より「地域づくりによる介護予防推進支援事業」が始まっている。市町村が効果的・効率的な介護予防の取組を推進できるよう技術的支援を行う事業らしい。だが、つくば市では実施されていない。

しかし、生活支援体制整備事業「高齢者の地域における自立した日常生活の支援及び要介護状態となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止に係る体制の整備、その他のこれらを促進する事業」が16年7月から始まり、生活支援の拠点となる居場所の設置が圏域ごとに討議されている。

つくば市長は、高齢者への支援として介護予防や孤立防止のための「地域憩いの場」提供への助成(広報つくば19年1月)、「高齢者の居場所づくり」(同19年4月)を約束している。団塊世代が後期高齢者になる25年までには400カ所ぐらい設置されるだろう。期待したい。(高齢者サロン主宰)

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