【コラム・高橋恵一】我が茨城県は都道府県別の魅力度ランキングで最下位の47位。それも7年連続。8年前に46位になる前も3年連続で最下位。ランキングは11回目だから…。

世界に誇る筑波研究学園都市があり、ノーベル賞受賞者を輩出した筑波大学がある。公立で東大合格者数のトップを競っている県立土浦一高もある。今年はひどい目にあったが、もともと自然災害が少ない。

人口や県民所得は10位前後に定着し、世界規模の茨城港、鹿島港があり、首都圏の第3空港、茨城空港もある。日本一の「筑波北条米」、メロン、レンコン、納豆も。

ネモフィラとコキアとロックフェスティバルの、ひたち海浜公園の観光客は増え続けている。日本三名園の偕楽園、日本三神宮の鹿島神宮、日本三大瀑布の袋田の滝。

スポーツだって、サッカーJ1最多タイトルを誇る鹿島アントラーズ、引退しちゃたけれど感動を与えてくれた日本人横綱の稀勢の里。知られていないけれど、温泉の数もトップクラスなのだ。

魅力度1位は11年連続で北海道なのだが、広々と耕作地が広がる北海道に次いで、農業生産額は茨城県が2位。気候が豊かだから、北国のリンゴも南国のミカンもできる。

イチゴも柿も栗も美味しいし、冬の干し芋は絶品だ。あんこう鍋も。1戸当たりの住宅の敷地面積は茨城がトップで、北海道より広い屋敷に住んでいる。タワーマンションを建てる必要がないのだ。

茨城の人は自県が好きなのだろうか?

茨城県の古代を描いた「常陸国風土記」では、土地も気候も豊かで、人々は生き生きと暮らしている、この世の理想郷「常世の国」とは、この地ではないかと称えられている。筑波山と霞ケ浦に抱かれた、茨城の豊かな姿が思い浮かぶではないか。

それなのに、なぜ、イメージが最下位なのだ。宣伝が下手とか、茨城人は控えめだから、とか言われるが、茨城の人は、茨城県が好きなのだろうか? 茨城の人は、地元の観光地やイベントに足を運び、楽しんでいるのだろうか?

県外の友人を案内して、水戸でタクシーに乗り、市内観光を頼んだら、「偕楽園はつまらないし、水戸には何もないですよ」。食事処を訪ねる気力もなくなった。紅葉の季節に遅れてしまっても、京都のタクシーは、著名ではないけど紅葉の残っている寺院を案内してくれた。

住んでいるところの魅力は、地元の人が愛し、自ら出かけ、自ら食し、自ら感動して、自ら語らなければ、アップしない。時代劇の水戸黄門も、茨城を舞台にした漫遊が必要かも知れない。都道府県地図の魅力度色分けが、灰色からせめてピンクになると、心が落ち着くかも知れない。(元茨城県生活環境部長、地図愛好家)

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