《ひょうたんの眼》1  他の尊ぶものを尊ぶ ユネスコ


高橋恵一さん

文化の日、文化勲章、様々な文化祭、秋空に映える銀杏並木、紅葉と読書、芸術祭とくると、なんとなく誰もが文化人を気取れそうな季節だ。文化といえば、国連教育科学文化機関(UNESCO=ユネスコ)もある。

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」で始まるユネスコ憲章は、2度の世界大戦が諸人民の無知と偏見が相手に対する差別と不公正を生み出したことにより可能になったとして、人類の知的及び精神的連帯の上に築く永続する平和を謳っている。憲章は1945年11月に採択され、国連機関として1946年11月4日設立された。日本国憲法公布の翌日になる。

第1次世界大戦の前までは、人々が無差別に戦争に巻き込まれることは少なかった。武器にしても、銃剣、大砲の類で、人間がコントロールしながら使っていた。しかし、第1次大戦中に戦車、毒ガス、飛行機からの爆撃が登場し、武器の破壊力、殺戮力は飛躍的に発達し、新型兵器の脅威を克服できないまま、第2次世界大戦に突入。ロケット、潜水艦、そして原子爆弾が登場し、人間にはコントロール出来なくなり、市民の生活の場が破壊され、無数の一般市民が老若男女の別なく犠牲になってしまった。

コントロールできない以上、次の大戦争で人類が破滅することは明らかであり、破滅を避けるために、国連ができ、ユネスコが設立された。日本国憲法もその流れの中で日本人が手にすることができたといえる。

ユネスコは、政府間の政治的及び経済的取り決めに基づく平和では安心出来ないとして、自らを諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて国際平和と人類の共通の福祉を促進しようとする機関としている。さらに、その目的を実現するための第一に掲げられているのが、諸人民が相互に知り且つ理解することを促進するマスコミの役割への期待である。

我が国は、国連加盟に先んじて、ユネスコへの加盟が認められ、平和を求める心の連帯は、市民運動としても普及した。最近は、世界遺産ばかりが取り上げられ、一流観光地のお墨付きみたいに扱われ、報道されているが、それぞれの「遺産」の地域的、民族的、歴史的存在を理解し尊重することが要であり、他の地域の者が評価できるものではあるまい。「他の尊ぶものを尊ぶ」ユネスコの平和のための活動をどう支持するか。メディアの基本姿勢を問うてみたい。

最近、権力への忖度がやたら目立つ大新聞・TVに対して、「NEWSつくば」が、小なりとは言え、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理の上に立ち、表現の自由を守るメディアとして活動することに期待している。(高橋恵一)

【たかはし・けいいち】土浦一高卒、中央大経済卒。茨城県庁に入り、知事公室長、生活環境部長などを歴任。この間、明野町(現筑西市)、土浦市に助役で出向。県庁退職後、オークラフロンティアホテルつくば社長(2006~11年)、JA茨城県厚生連理事長(11~16年)。現在NPO法人NEWSつくば理事。土浦市生まれ、同市在住。71歳。