【コラム・浦本弘海】おかげさまで法律かけこみ寺の連載も13回。大仰(おおぎょう)な見出しですが、今回と次回で過去12回の連載を振り返りつつ、まとめと解題(かいだい)をしたいと思います。

第1回 駈出し訴え

母から急に電話がかかってきたので、よく話を聞いてみると架空請求だったという。架空請求詐欺の実態や初動での対応方法について取り上げました。

ちなみに見出しの元ネタは太宰治「駈込み(かけこみ)訴え」。この回は見出しや内容と元ネタに(一応は)関係があります。

なお、サイトに掲載されている見出しと上記見出しは異なりますが、これはデスクでよりよい見出しに変更しているからです(以下も同じです)。

第2回 Bのレプリカ

最近の架空請求では実在の弁護士を騙(かた)る事案まで発生しています。そこで第2回では簡単にできる弁護士の真贋(しんがん)判定法を紹介しました。

見出しの元ネタは森博嗣『すべてがFになる』『夏のレプリカ』。ちなみに法律関係者の間では、弁護士の略記として「B」を使うことがあります。BengoshiのBなのでしょうか。そういえばレイ・ブラッドベリの短篇に「『ウ』は宇宙船の略号さ」というのがあったなあ…。

第3回 酒場の弁護士は電気金魚の夢を見るか

日照権とそれにまつわる大岡政談(註:大岡忠相=ただすけ=の裁判に仮託した小説・講談など)を取り上げました。

見出しの元ネタはフィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で、映画『ブレードランナー』の原作です。法律的なトラブルなんてなければよいのですが…。そんな日を夢見つつ働いています。

第4回 守れよ我が権利、と著作者は言った

この回から著作権の話が続きます。この回では「著作権」とは法的にどのような権利かを説明しました。

見出しの元ネタはこれもフィリップ・K・ディックで『流れよわが涙、と警官は言った 』。

この回は元ネタと内容的つながりはないです。

第5回 長い前置き

著作権の対象である「著作物」とはなにかを取り上げました。続き物なので、前置きが長いため、そのまま見出しにしました。

元ネタはレイモンド・チャンドラー『長いお別れ』(ロング・グッドバイ)。内容とは関係ありませんが、とても印象深い作品です。

第6回 フリーなブギにしてくれ

著作権に関して陥りがちな「フリー素材」の対応について取り上げました。「フリー」と銘打っていても、商用利用等は有償の場合もあるので、利用規約をきちんとチェックしましょうという話です。

元ネタは片岡義男「スローなブギにしてくれ」です。

以上、第1回から第6回までを振り返りました。ご興味のある回がございましたら、ご覧くだされば幸いです。(弁護士)

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