《宍塚の里山》52 里山は秋から冬へ模様替え


【コラム・及川ひろみ】今ごろ紅葉の話。ちょっと恐縮ではありますが、実は茨城県南部の林の今年の紅葉は、12月の今が見ごろです。

宍塚の里山の紅葉、黄葉は9月末、山桜や宍塚大池の堤防に植えられたソメイヨシノから始まります。桜の葉は昆虫がよほど好きなのか、葉は穴が空き食われた跡だらけで、美しく色づくことは少ないのですが…。

それでも、いち早く秋の訪れを伝え、間もなく葉を落とし、桜は早くも冬の装いになります。そして10月末~11月になると、コマユミ、ツタウルシ、ヤマウルシの葉が、里山のあちらこちらで鮮やかな深紅に。存在を告げているかのようです。

一段と気温が下がる11月中下旬。山の斜面にあるウワミズザクラやツタが美しく紅葉し、イヌザクラ、シデの仲間、エノキが黄色に色づきますが、これがなかなか美しい。そして、さらに気温が下がる12月初旬、里山の中で最も多く見られるコナラが一斉に赤色、黄色、レンガ色に染まり、里山全体が紅葉に包まれます。

冬を迎える間際の里の輝き

宍塚の里山では、スギやヒノキなど植林された針葉樹が全体の20%ほどを占めると、森林を管理する県職員から以前聞いたことがあります。これらの針葉樹とシラカシなどの常緑樹が色づく落葉樹に混ざりあうように広がることで、紅葉の美しさを際立たせているように感じます。

とは言っても、日光や県北など紅葉の名所とは異なり、宍塚の里山の紅葉はそれほど派手なものではありません。いぶし銀のような輝きとでも申しましょうか。それはそれで、冬を迎える間際の里の輝きを見るように思います。冬が迫り来る中、身近なところで行く秋を楽しみ、愛おしむのも一考かなと感じています。

そして紅葉の季節が過ぎ木枯らしの節になると、落葉樹の葉は風に煽られ、チョウが舞うかの如くひらひらと舞い散り、谷津で羽根を付けたヨシやガマの種が北風に乗り、遠くへ遠くへと運ばれていく様子は、自然が織りなすドラマを見ているようです。

葉を落とした雑木林には林床に温い光が注ぎ、「カサカサ」と落ち葉を踏みしめて歩けるのももうすぐです。(宍塚の自然と歴史の会代表)

➡及川ひろみさんの過去のコラムはこちら