《吾妻カガミ》68 新旧土浦市長の政治と経済のセンス

土浦市役所

【コラム・坂本栄】秋の土浦市長選挙では、16年の実績を掲げ継続を訴えた中川清さんが、変革の必要を前面に押し出した安藤真理子さんに敗れました。結果は本サイトの記事「新人の安藤氏が現職の中川氏を破る」(11月10日掲載)をご覧ください。中川さんの敗因はいろいろ挙げられますが、一言でいえば、市民に長過ぎると思われたからでしょう。

私は、経営のセンスを市政に生かし、土浦改造計画に取り組んだ中川さんの実績を評価、中川市政に合格点を付けたいと思います。長い間お疲れ様でした。中川さんの口癖は「私は政治家でないから…」でしたが、市民の感情に想いが至らなかった政治のセンスは残念でした。

逆に、変化と女性であることを強調した安藤さんの政治センスはなかなかでした。高いリスクを覚悟して、3段跳び(市議→県議→市長)に挑んだセンスに拍手を送ります。当選おめでとうございます。ただ市民への公約束集は場当たりのところが多く、整合性に欠けるところが気になります。

将来投資と財源不足

安藤さんは「市の財源不足は拡大の一途をたどっており、…… 、危機的な財政状況にある」と、中川市政を批判しました。数字は確かにその通りです。詳しくは本サイトの記事「財政不足額が毎年10億円超 5年後に基金枯渇」(10月27日掲載)をご覧ください。

しかし財源不足は、中川市政の実績(市庁舎移転、2大病院支援、図書館移転、新市営斎場整備、市民会館改装、市民球場改装などなど)を表とすれば、その裏で生じたものです。経済の言葉で言えば、設備投資のための借り入れ増によって発生したものです。企業が法人の生存のために投資するように、市が投資をしないとあとで困るのは市民です。

問題は赤字がマネージャブル(管理可能)かどうかです。そうするために、中川さんは行財政改革を掲げ、不評を承知で職員と冗費(じょうひ)を削りました。細かな支出カットを積み上げながら、将来のための投資を続けたわけです。経済のセンスです。

公約は手かせ足かせ 

安藤さんは、税収増のために自分の足で企業を誘致すると公約しました。公約の肝(きも)ですが、これには問題があります。中川市政下で工業団地は完売になり、工場を誘致する区画はもうありません。公約実現には用地造成が必要です。つまりおカネがかかる投資が必要になります。でも中川さんが公約した湖畔へのリゾート企業誘致は引き継いでください。

市民に受ける公約を並べても許されるのが選挙かもしれませんが、首長になると、選挙での約束は手かせ足かせになります。政治とは厄介(やっかい)なものです。

私はコラム「土浦の市街地をつくり変える仕事」(9月16日掲載)で、市長選は無投票になりそうだと書きました。しかしそうはならず(ジャーナリスト落第!)、久しぶりに選挙らしい選挙になりました。この読み間違いを反省、これからは安藤市政をしっかりウォッチしていきます。(経済ジャーナリスト)

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