《続・平熱日記》49 おにぎり おむすび にぎりめし


【コラム・斉藤裕之】どこかに出かけたとき、2人分の食事を頼むと食べきれず、かといって…。そんなときには道の駅のおにぎり。おにぎりといえば思い出す2人。

人が食べる姿に初めて感動を覚えたのは、勝新太郎演じる座頭市。おもむろに懐から取り出した握り飯を一心不乱にかぶりつく、いやむしゃぶりつく。食欲という本能と、コメが口から喉元を通る刹那(せつな)の満足感。まさに至高の瞬間の演技。これが正しいにぎりめしの食い方!と直感しました。

勝手な解釈ですが、コンビニで売っているのは「おにぎり」、おいなりさんと並んで売られているやつは「おむすび」、市さんの食べるやつは「にぎりめし」です。

もう1人は裸の大将こと山下清。ドラマの中では、おにぎりを食べるシーンが印象的でしたが、実際はどうだったのか。ちなみに長い間坊主頭で、夏はランニングに半ズボンだった私は、よく清画伯に似ているといわれました。

特におにぎりにこだわりはないのですが、成田に行く途中にあった河内町の農産物直売所にちょこんとあったおにぎりは美味しかったなあ。若干先細りの二等辺三角形、ご飯の量も上品で、特に葉唐辛子が好きでした。移転した新店舗でも売っているそうです。

佐原の道の駅では、銀杏(ぎんなん)や枝豆入りなどいろんな種類のおにぎりがいっぱい並んでいて目移りするほど。どのお宅にもそれぞれのおにぎりがあると思いますが、私の母はかつおぶし専門でした。

日本が誇るファーストフード おにぎり

さて先日訪れた日光。少し色づいた山々、ひんやりとした空気。車を置いて東照宮へ。前回訪れたのはいつだったか。でもなんだか依然と違う雰囲気が。

修復が進んできれいになっているだけではなく、平日というのにものすごい観光客。修学旅行の子供たちや家族連れ。それから御多分にもれず多くの外国人。ちょうどラグビーワールドカップも開催中とあって、見覚えあるチームカラーのジャケットを着た外国人も。世界遺産を初詣よろしく列になって拝観。

当たり前ですが、ここは山の中。長い石段を登って休憩。また登って休んで。参道から駐車場に戻るころには足がガクガク。日ごろの運動不足を再認識して、「日光は見たのでしばらくは結構」。

来年のオリンピックには、この何倍もの外国人がいらっしゃる予定とか。例えば日光なんかで、美味しいおにぎりなんかお手軽で喜ばれるんじゃないですかねえ。帰り際に立ち寄った道に駅の手作り漬物が美味しかった。こういうのを具にしてね。オリンピックは日本の誇るファーストフード・おにぎりでおもてなし。

あ、外食ですけど、食べ残すのが申しわけないので、最近はタッパーを持参するようにしているんですよ。昔、母がそうしていたのが嫌でしたけど。(画家)

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