【コラム・室生勝】9月14日のコラムで、「24時間、往診と看取りをするのが在支診(在宅療養支援診療所)の設置基準にあり、できるだけ対応すべきである」と書いたが、「看取りの対応」は入っていないとサロンで指摘された。厚労省の設置基準には「24時間365日体制で往診が可能」「看取り等の実績を定期的に厚労省へ報告している」とあるので、私は開業医当時から「依頼があれば往診し、看取る、すなわち臨終に立ち会う」のが基準と理解していた。

緊急に往診依頼があっても患家に着いた時には、すでに患者が亡くなっていることの方が多く、「看取る」を「臨終に立ち会う」とすると、全ての場合に臨終に立ち会えない。だから厚労省は「看取り」を設置基準に入れなかったのではないか。

「看取り」は三省堂の大辞林によると、「病人のそばにいて世話をする。また、死期まで見守る、看病すること」とある。看取りを家族が行い、家族が不安であれば看護師が支えるのが自然な流れであろう。家族は患者の呼吸が止まった時を死亡時刻と判断してよく、医師が死亡を確認する時に伝えればよい。

医師から患者の余命があと1カ月と家族に告げられたら、医師や訪問看護師から死期が近くなったら見られる症状について学ぶ。4月27日のコラムに書いた「死の準備教育」を受けることである。患者本人も家族も「最期は自宅で」と望んでいる場合は必ず学んでほしい。

家族は本人が苦しそうにしている時や最期の時に慌てて救急車を呼んだりしては、お互いの想いが台無しになってしまう。どういう状況になっても家族は冷静に対処するように心がけてほしい。何かあった場合はまず訪問看護師やかかりつけ医に連絡することである。

後期高齢者は「連絡ノート」の用意を

看護師や医師に電話で連絡すれば、救急車が必要なら指示してくれる。慌てて救急車を呼ぶと、本人が延命処置を希望しないとリビングウィル(生前意思表示)していても、それを見せないと救急隊員は懸命に患者を助けようとする。呼吸が止まっていて心肺停止と判断した場合も、蘇生(そせい)術を行いながら病院へ搬送する。

かかりつけ医が病院医である場合は、臨終が迫り病院へ連絡しても往診はしてくれず、救急車で来院するよう指示される。「最期は自宅で」という想いをかなえられなくなる。9月28日のコラムの「かかりつけ診療所医と病院専門医の主治医2人制」は、このような時にかかりつけ診療所医が対処してくれる。

救急車にお世話になる場合はほかにもある。後期高齢者で狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)にかかったことがあったり、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの持病で通院治療している人は、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血の突然の発症もあり得るし、たちくらみやつまづきで転倒し外傷や骨折する場合である。

後期高齢者になったら「連絡ノート」を用意し、今までかかった病気、今治療中の病気と薬、かかっている診療所医や検査を受けた病院名、リビングウィルなどを書いておく。ノートの表紙には、病院主治医や検査を受けた病院の名称を大きく書いておき、救急隊にすぐ渡せるようにしておく。診療時間外の救急担当医もノートを見て、患者本人の意向に沿った治療をしてくれるだろう。

在宅医療の診療所医と病院医の関係は、退院時、患者および家族に病院担当医、担当看護師、在宅主治医、ケアマネジャーなどが行う「退院時共同指導」で連携が定着しつつあるが、病院救急医との連携は弱い。各病院の救急医と在支診の医師たちが一堂に会し、連携について話し合うべきだ。(高齢者サロン主宰)

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