【コラム・奥井登美子】地球温暖化の影響だろうか、台風15号の次に19号。テレビは台風の時間とコースを報道してくれるので、とてもありがたい。でも、どう行動すればいいのか見当のつかない我々にとっては、秋の空を見上げる心のゆとりがなくなってしまったような気がする。

亭主は、日仏薬学会のスュルグご夫妻との夕食会が中止になってしまった。私は毎年、土浦市の環境展に、土浦の自然を守る会で「どんぐり細工」を出展する。今年も12日に向けて、どんぐりをたくさん拾って干して、虫を殺して用意していたのに。環境展のその日の行事はすべて中止になってしまった。

風が吹いて来て、銀杏(いちょう)が勢いよく落ちる音。木の枝がバサッと折れて、落ちてきた。

「台風まだ上陸していないのに、命を守れと、テレビがさけんでいるよ」

「どうすればいいの」

「今度は避難しなさいといっている」

「この風と雨の中、どこへ避難するの?」

「避難のほうが危険だよ」

地域医療の地域とはなにか

家にいても、庭の木の枝が落ちてくる。外に出たら、何が飛んでくるかわからない。かえって危険と判断して、2人で風の止むのを待っていた。

私は、お隣りに住んでいるコーちゃんと、何かあったら互いに助けあって、結束して事故防止に当たろうよと、約束していた。今回は、ご近所の付き合いとその約束が、何か安心感を与えてくれたような気がする。

昔は、オセッカイなバアさんジイさんが近所に山ほどいて、うるさいけれど何かあった場合の役に立っていた。今はご近所さんとの連携を拒否する人たちが多い。

今回の台風で、避難の必要性、中学校ごとの地域、川の流域ごとの地域などについて考えた。その中で地域医療とは何か、皆で徹底的に検討する必要があると思った。(随筆家)

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