【コラム・浅井和幸】私は、県内各地域で、継続的にお茶会を開催しています。不登校、ひきこもり、ニート、障害、貧困など、様々な悩みに直面している方々との、おしゃべりの場です。先日、そのうちの一つで、「私、おばちゃんが苦手なんです」という、女の子(Aさん)からの発言がありました。なんとなく意外な感じがして、「おじちゃんじゃなくて?」と、聞き返しました。

「いえ、男性より女性のほうが苦手なんです」とのこと。とても大人しく、遠慮がちで、気遣いのある彼女からの発言に耳を傾けました。なんとなく陰口になってしまいそうなので気が引けるのですが、という前置きがあり、次のような経験談を話してくれました。

ある集まりで、そこの支援者(Bさん)が飲み物を出してくれたそうです。Aさんは、飲み物はいらなかったので、やんわりとお断りしたのですが、「いいから、いいから、遠慮しないで」と用意してくれました。

Bさんは「お菓子も食べて」と、Aさんに言ってきました。Aさんは、また、やんわりと断りました。何回か断った末に、Bさんは「遠慮しないで」とAさんの前にお菓子を並べて置いてくれたそうです。

Aさんは、とても嫌な時間だったと言います。Bさんは悪気がないどころか、自分(Aさん)に気を使ってくれての行動だということは分かります。なので、こんなことを思ってしまうのは悪いことだと思うのですが、自分の気持ちを無視され続けて居たたまれなかったです。

コミュニケーションが大切

いつでも、どこでも、そうではないのかもしれませんが、男性の場合は、何回も断らなくても、意見を受け入れてくれます。ですが、女性の場合は、私の言葉を受け入れてもらえずに、押し売りされるような場面がこの1カ月続いたんです。どう思いますか?と、最後にAさんに質問されました。

私は「まぁ、いろいろあるけど、やんわりじゃなく、ときには強めにはっきりと断ってもよいかもね」と冗談交じりで伝えました。明るい雰囲気の場だったので、軽い話で済んだところはあります。

しかし、支援をする人間としては、とても学びになる話だったと感じています。女性だろうが、男性だろうが、支援者というものは、善意を押し付けてしまいやすい場面に多々直面します。強めに正しいと思う意見を伝えた方がよい場面というものも、実際にはあるものなのです。だからといって、いつも支援者が考える「正しい」ことが、よりよい言動とは限らないのです。

程度の調整は、とても難しいものですが、いつも振り返り、そしてコミュニケーションが大切なのでしょうね。(精神保健福祉士)

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