2018年10月中旬開催の第17回世界湖沼会議(県など主催)まで、あと1年を切りました。関係者のご苦労は大変なことと思います。私自身も22年前、初めての湖沼会議に向け、企画委員として身も心もぶっ飛ぶような嵐の日々を経験したからです。

閉会時のあの感動から22年。長いようで短い年月でした。3年前、一般社団法人霞ケ浦市民協会の会議で「最近、霞ケ浦の水質や浄化について、市民の意識が少し薄れてきているのではないか。市民協会が発足したころの情熱を復活できないだろうか…」と発言したところ異論がなく、会議再誘致に向け関係先に働きかけようということになりました。

前回、1995年の第6回会議のときには、「市民参加」をキーワードに「世界湖沼会議市民の会」を設立。霞ケ浦への関心を高めるために、交流・啓発を中心とした数多くの事業を寝食忘れる忙しさで実施しました。

私は環境グループ代表として関連の事業をリードしましたが、会議では女性参加の重要性を強く感じました。会議には8200名余もの参加があり、当初の目的を達成できました。

閉会式では「霞ケ浦宣言」が採択されましたが、この宣言は格調が高く、市民グループにとっても大変有意義なものでした。この精神を継承し、市民の英知・情熱を結集する目的で結成されたのが社団法人霞ケ浦市民協会です。

でも22年も経つと、その精神も忘れがちになります。「霞ケ浦の浄化は行政の役目だ」と考える人も多くなった気がします。確かに県は、この会議を機に「霞ケ浦環境科学センター」をつくるとか、「森林湖沼環境税」を制定するとか、多くの施策を実施してきました。特に環境税は、霞ケ浦などを意識してその名称に「湖沼」が入りました。

問題は、「霞ケ浦宣言」の精神に経年劣化がみられ、センターや環境税などの施策についても県民の理解が不足していることです。市民協会は県担当者に会ったとき、①森林湖沼環境税の「見える化」を図るべきだ②湖沼会議再誘致は県民の環境意識啓発に役立つ―と話しました。今度の会議では、市民活動の結果も県が報告するよう伝えてあります。

われわれの努力もあり、橋本昌前知事は再誘致を決断、つくば・土浦地域での第17回世界湖沼会議開催が決まりました。招致運動を進めてきた市民協会には会議を盛会裏に終わらせ、県・国内の湖沼を恥ずかしくない遺産として子孫に残す義務が再び両肩にのしかかっています。(堀越昭・霞ケ浦市民協会初代理事長)

【かすみがうら・しみんきょうかい】1995年の世界湖沼会議で採択された「霞ケ浦宣言」の理念を継承し、「霞ケ浦及び流域環境の浄化・保全及び創造をめざす市民活動を推進し、人と自然が共生できる快適で文化的な地域社会を構築する」ため、翌96年「社団法人霞ケ浦市民協会」として発足。2013年一般社団法人に。

コラム《泳げる霞ケ浦へ》は市民協会のメンバーが輪番で執筆します。