【コラム・及川ひろみ】宍塚の自然と歴史の会では、月例テーマ観察会(第1日曜日9:30~12:00)、土曜観察会(毎週土曜日9:00~12:00)、日本野鳥の会と合同の野鳥観察会(第3土曜日9:00~12:00)を定期的に行っています。これとは別に、夜の生き物観察会も年3回実施しています。

夜の観察会は、 昼間、身を潜めていた生き物の世界を垣間見る、夜の生きざまが見られるチャンスとあって、大人気のプログラムです。5月に行われた春の観察会では、里山の田んぼでにぎやかに鳴くカエル、大声を発して鳴くアマガエルにそっと近づき、その姿を観察しました。

そのとき、水の中をのぞくと、昼間はあまり見られないトンボのヤゴやゲンゴロウの幼虫、オタマジャクシやドジョウなどが見られます。宍塚には5種のカエルがいますが、うまくすれば、そのうちの4種を見つけることができます。

目が慣れてくると、葉に留まり眠る? 休む? チョウやトンボ、ハサミムシなども見つけられます。講師の北方動物研究所の植田さんから、参加の子ども(今年は20数名)1人1人にアカガエルの石膏をプレゼントされました。

夏の夜の観察会は海の日に行いますが、100人近く集まったこともあります。毎年大量に羽化するニイニイゼミを、全員が見つけ観察します。コロギス、ナナフシ、カブト虫、クワガタムシ、キシタバなどなど、様々な生き物が昼間より活発に動き回るのが見られます。

ブラックライトなどを森の中に点灯、虫をおびき寄せる仕掛けもセットし、参加者を待つ会員もいて、準備には怠りがありません。

カンタン、鈴虫、コオロギ、ササキリ

このところ、夜になると一段とにぎやかな虫の声が、大通りの樹木からも聞かれます。今年の夜の観察会第3弾は、9月14日18時半~20時半の「鳴く虫の観察会」です。カンタン、鈴虫、コオロギ、ササキリなどが鳴く姿を見つけます。

昼間よりにぎやかに感じられる夜の生き物、なぜ夜活動するのでしょうか。天敵(主に野鳥)から逃れるためと言われていますが、実は、体が小さな昆虫は昼間の直射日光で体温が過剰に上がってしまうことから、昼間は日が当たらない場所で休み、夜に動くと考えられています。

夜行性と呼ばれる生き物は、色彩を見分ける能力が劣り、夜咲く花には白色のものが多いのも、そのためだと言われています。

夜の観察会の悩みは「危険」です。特にマムシなど危険な生き物にいきなり遭遇することがないよう、細心の注意を払います。参加者にはライト持参を義務付け、やぶなど危険な場所には入らないなどを徹底、さらに昼間の観察会より多くのサポーターの協力を得て実施しています。もちろん参加者全員保険に加入しています。(宍塚の自然と歴史の会代表)

➡及川ひろみさんの過去のコラムはこちら