《吾妻カガミ》63 懸案問題処理に見る つくば市のスタイル

つくば市役所

【コラム・坂本栄】つくば市の総合運動公園予定地跡の活用計画が、8月19日公表されました(記事も同日掲載)。といっても市が策定したものではなく、公募に応じた1企業が出してきた案です。これを市当局が採用、社名を伏せて公表しました。この問題、五十嵐立青市長にとっては「ホットな政治案件」のはずですが、処理手続きはとてもクールです。

市議会に説明された案は、45ヘクタールの土地のうち、調整池と道路整備に7ヘクタール使い、残りの35パーセントを大規模商業施設、59パーセントを物流倉庫施設、6パーセントを老健施設に使うという、まとまった土地を小分けする計画でした。

商業施設も、大手ショッピングモール、スーパー、飲食店、ホームセンターなどを誘致する―と月並みで、前市長時代に企画立案→白紙撤回された運動公園計画(主な施設は公認陸上競技場、総合体育館、ラグビー兼サッカー場)のようなインパクトはありません。

また、提案企業が土地を買い取り、すぐ開発に入るのかと思っていたら、手続きはまだ続くようです。市民説明会、不動産鑑定(提案社は40億円~と想定)は当然としても、土地売却は別途入札を行うとのこと。処理のプロセスは用心深く組み立てられています。

まだ続く政治テーマ「総合運動公園」

来年秋に市長1期目を終える五十嵐さんは、この問題の処理ではリスクを避けたいと思っているのでしょう。このコラム55「つくばの政治テーマ 総合運動公園問題」(5月6日掲載)でも触れましたように、「(前市長の)市原さんが4選出馬を諦める一因になった」「五十嵐さんにとっては、反対運動をテコに市長選に臨み、当選の主因になった」案件ですから、気持ちは分かります。

この種の計画は、まちの将来像を描き、豊富な情報も持つ市が策定しなければならないのに、公募の形で民間に投げたのは、出来上がった計画への批判を恐れたからでしょうか? それとも、市が策定したTXつくば駅前再生プランが頓挫(とんざ)したため、自信を失ったのでしょうか?

市有地処理では、土地利用計画と土地売却額がポイントになりますが、後者については、五十嵐さんの責任は軽いと思います。66億円でUR(都市再生機構)から購入したものが、先の想定通り40億台でしか売れなかったとしても(差損は20数億)、買ったのは前市長だからです。

でも、2016年秋の選挙中、五十嵐さんは土地をURに買い戻させると「公約」していましたので、政治的な責任は残ります(選挙後に解約は契約上無理と判明!)。この問題の処理が終わる今年末まで、市の対応をウオッチしていきましょう。(経済ジャーナリスト)

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