世界湖沼会議をきっかけにして、私たちは「水郷水都全国会議」を結成し、年に一回現地見学と市民交流をつづけている。土浦の自然を守る会は、以来、河童(かっぱ)と仲良しになり、未来の人類とのつながりを念じて、河童の扮装(ふんそう)をして子どもたちの環境教育に力を入れている。

私の弟の加藤尚武(京都大学名誉教授・環境倫理学)は著書「環境倫理学のすすめ」の中で、「いかなる世代も未来世代の生存可能性を一方的に制約する権限をもたない」と書いている。

ヱルザ自然保護の会の藤原英司さんは、日本の河童伝説の原点は江戸時代にどこの川にもたくさんいたカワウソがモデルだと教えてくれた。カワウソは何年か前、残念ながら日本から絶滅してしまったが、モデルの存在が解ったので、私たちの劇も、カワウソにウソだといわれないように、楽しいものにすることができた。

「河童」のような架空の動物が全国的に存在し、それぞれが個性的に水の問題に深く関わってきた日本の歴史は、外国人たちからみると、かなり面白い存在として興味をもたれた。

世界湖沼会議は、日本の地域をいろいろな国の人に知ってもらい、その人たちから新しい水の知恵をいただく地域起しの会だと私は割り切っている。

現在、WTOでトリインフルエンザの世界的な権威、ケイジ・フクダ氏の父福田実さんは土浦の人。アメリカで、州の医師会会長などもして世界中を飛び回っていらした。学会などで日本に来ると、土浦にお寄りになり、私の車で、霞ケ浦の沖宿あたりの花の咲いた蓮根畑を見に行くのをとても楽しみにしていらした。

「ハス田のこのひろがりは日本一ですね」と私が言ったら、「霞ケ浦の沖宿のあたりの蓮根の風景。これは日本一ではなくて世界一です。世界の人たちに見せたい日本の風景ですよ」。霞ケ浦には世界一の風景もあるのだ。(奥井登美子)